演歌界の若手アイドル・山内惠介が憂う! 『紅白』北島三郎引退と演歌界のこれから
北島三郎の『NHK紅白歌合戦』引退、小林幸子のお家騒動と『紅白』不選出など、近年の演歌界は揺れに揺れている。ネットでは「演歌枠いらない」という声が上がり、今後の『紅白』も若返りを図るために演歌枠が減少するという報道が流れるなど、時代の逆風をもろに受けているのだ。しかし、それでいいのだろうか? あのジャニー喜多川氏をもってして「『紅白』では森進一さんが素晴らしかった」と言わしめるほど、演歌界は日本が誇るエンタテインメントのはず。このままでは、演歌心が日本人から消え、エンタテインメント全体が弱体化してしまうのではないか――。
そこでサイゾーウーマン編集部は、「ぼくはエンカな高校生」のキャッチコピーで17歳でデビューし、映画『THE歌謡ムービー 昭和歌謡危機一髪!』で「平成の銀幕スター」として名乗りを上げた、演歌界のスーパーアイドル「けーちゃん」こと山内惠介さんを直撃してきた。
――演歌界のホープにとどまらず、ついに映画にまで進出されましたが「平成の銀幕スター」に抜擢されたご心境は?
山内惠介氏(以下、山内) 男があこがれる男っていうのが、銀幕スターのイメージですよね。石原裕次郎さんや、小林旭さんのように渋くて目がギラッとしていて、ドシッとした風格がある男性。その一方で、『男はつらいよ』の寅さん(渥美清)も銀幕スターですよね。僕は「優男」なんてふうに言われるので、どちらかといえば寅さんタイプかな? この前、タクシーに乗った時に「この辺りに芸能人、住んでいらっしゃるでしょ?」と聞いたんです。自分のことを知ってるのかどうか知りたくて(笑)。「ほら、山……山内……」って言ったら、「ああ、優男の。コノ辺りの出身なんですね~」と運転手さんが言うんですよ。ああ、そういうふうに見られてるんだなって(笑)。でもそんな銀幕スターがいてもいいよな、と思ってます。それに、暗い中で大画面で映ってるとね、僕なんかでも渋く見える。それが銀幕マジックです。
――映画のストーリーは、事務所が飲食事業に手を出して失敗、携帯ゲーム会社に買収され、演歌歌手なのにモノマネタレントとして売られ、挙げ句、声が出なくなる奇病にかかってしまう……という、妙にリアリティが香るお話でした。
山内 実際に起こりそうなことですよね(笑)。投資という形で事務所がお金を借りて。こういう時代ですからね、現実に起こり得ることを疑似体験をしてるようでした。アーティストを売り出すのって、思っている以上の資金が必要なんですよね。僕自身も、仕事として歌を歌っていくことについて、考えるきっかけになりました。それに、劇中ではモノマネタレントにさせられましたけど、実際、演歌の諸先輩方ってモノマネがお上手なんですよ。だから、演歌歌手からモノマネタレントっていうのは、あるかもしれませんよ(笑)。五木ひろしさんはめったにテレビでモノマネをしませんけど、とてもお上手です。ステージでは、森進一さんや石原裕次郎さんのモノマネをするんですよ。
――作品名は『THE歌謡ムービー 昭和歌謡危機一髪!』ですが、そもそも演歌と昭和歌謡の違いってなんでしょう?
山内 昭和歌謡の歌手といえば、美空ひばりさん、三橋美智也さん、春日八郎さんが代表的ですね。けれど、昔放送していた『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)を見ると、郷ひろみさんもいれば、五木さんもいるし、アイドルもいる。かつては、歌謡曲というジャンルの中に演歌もポップスもニューミュージックも一緒にあったんですが、それが分かれていった。昭和歌謡の中にもド演歌があるんですよ。例えば、春日さんの「お富さん」は演歌。でも、森進一さんの「東京物語」は歌謡曲、「襟裳岬」はフォーク演歌なんて言ったりしますから、そう考えると、演歌歌手が歌えば、演歌なのかもしれません(笑)。もちろん、コブシやフシを回しているかどうか、という点もあります。それに、昭和歌謡って、ただの男と女の世界じゃなくて、心に余裕がある世界観というか、遊び心があったり、すっ飛んでる世界観があるんです。「昭和」の看板を背負ってるだけあり、バブル時代を象徴するような曲があったりね。