KAT-TUN・上田竜也、キャラ迷走の過去から浮かび上がる類まれな「ピュアネス」
今回ツッコませていただくのは、12月25日放送分『ザ少年倶楽部プレミアム』(NHK BSプレミアム)の「プレミアムトーク」に登場した、KAT-TUN・上田竜也の純粋さ。
上田と中丸雄一が30歳になり、全員30代になったというのが「名目」だが、実際のきっかけは、以前、同番組に上田と中丸雄一が出演した際に語られた話がある。
それは、「亀梨和也はボーカル&プロットマン、田中聖はラップ、田口淳之介はダンスパフォーマンス」と個性が強かったため、残りの2人も色を出すために、中丸がヒューマンビートボックスを始め、上田が「迷走した」という話だ。
冒頭では、その「迷走」エピソードに入る軽い前フリとして、30歳になった上田と中丸のために、亀梨がプランニングしてお祝いしてくれた話が語られた。「鉄板焼き屋を予約してくれて、(亀梨は)ワインに詳しいから、料理にあわせてワインをチョイスしてくれた」なんてステキなエピソードに、MCの国分太一は「く~~~~~っ! いい会だね」、「支払は誰?」(太一)「亀が」(上田)なんてやりとりが繰り広げられた。
もちろん「ステキな亀梨エピソード」を最初に紹介したのは、「上田迷走」への落差を際立たせるためだろう。本題に入り、上田の14歳の入所からのヒストリーがVTRで紹介されていくと、
「全然違うじゃん、上田くん! 整形疑惑出ちゃいそうだよ」
「(ダンス中のターンを見ながら)逆だよ、上田くん、逆だったよ」
VTRを見ながら、いちいちツッコむ太一。そして、トークのメインディッシュである「上田が自分の個性を探し始める」話が、ナレーションのイイ声で、しっとりと再び掘り下げられた。
「まず試したのが、ROCKキャラ」「続いて試したのが、不思議キャラ」として、2008年の『ザ少年倶楽部プレミアム』で「妖精が見える」キャラ設定をしていた頃の話が紹介された後、「2011年『ランナウェイ』での好演で役者・上田竜也が一躍注目を集める存在になった」ことが語られる。
その間、太一は無邪気に(?)笑いながら、何度も何度も「これ、面白い!」「この話、一番好き!」「これまで話した中で、一番これ面白かったよ!」を繰り返す。挙げ句、
「おれさ、すっごくいいと思うよ! 必死だったからこそ、上田くん、いろんなことを試したわけじゃない? それが、人とちょっと違っただけで(笑)」
と、一旦上げて、盛大に落としていた。
この件には、上田自身、「ずっとこの話、されるので」と苦笑気味で、まるで「すべらない話」をねだられて、いろんな飲み会などに何度も呼ばれた芸人状態になっている。それでいて、太一はおかまいなしにご機嫌で、大笑いしつつ、時々励ますという、無責任な親戚のおじさんのスタンスに見える。
さらに、その後、「役者・上田竜也」が「どういう風にうまくだませるか。違う人物になりきって」と熱く真剣な演技論を語ると、太一の「まとめ」はコレ。
「なんか話聞いてると、『自分じゃないんだ』ってことが、大きなテーマになってるんだね」
「見て思ったんですけど、そういうことが好きなのかもしれないですね。妖精もそうですけど」
なぜか腑に落ちた表情で、納得してしまうピュアな上田に、太一は悪魔のように囁く。
「そうだ! 『だます』ってのも、妖精見えてないのに、だましてたわけだよね? でも、そこまでの準備ってのもやっとかないと。メンバーもだますわけだからね?(笑) 分析できたじゃん!(笑)」
さらに、「最近ハマッてるもの」について聞かれた上田の答えがピュアすぎて、もう……。
「あとは最近、おもちにハマッてまして。どれくらい食べられるかみたいな」(上田)
「誰と戦ってんの?」(太一)
「自分ですよ、自分。今のところ12個で止まってるんですけど、12個でもおなかいっぱいにならないんですよ」(上田)
ああ、なんてキレイな瞳の30歳なんでしょう。いろいろ悩み、「迷走」したにもかかわらず、屈折せず、まったく汚れていない上田竜也。
それに対して濁りきった目の悪魔(太一)はスタッフに声をかけるフリをして、こんなからかいの言葉を投げる。
「いいね、それ! 『WORKS』ってあるよね? 『おもち何個食べれるか』ていうドキュメントやってもらえたら~」
「悪魔に騙されないで!」という思いと、「騙されていく愛おしさをもっと見たい」という思いとの間で揺れ動く、とっても貴重なトークスペシャルだった。
(田幸和歌子)