アラフォーはモテより「チヤホヤ」! 「DRESS」のオヤジョ論とその欲望
結婚に目くじらを立てて邁進する歳ではない(といいつつ毎号卵活特集してますが)から、自由に恋愛を楽しもうというスタンスが、「DRESS」初期の頃にはうっすら見て取れました。結婚に邁進しないのなら、そりゃあ1人にモテるのではなく、大勢からチヤホヤされる方がよいでしょう。どんな性格の悪い女だって、たった1人にモテればいいのなら、そいつにロックオンしてアプローチすればいいだけ。人間性はどうなのかと疑われる45歳差婚の某嫁みたいに経済力のある男をゲットしたりできる。けれど、社会に生きるアラフォーは、人間性や仕事ぶりで人に認められる、魅力溢れる人であるべきかと思います。
でもそれって、ちょっと変わったドレスを着ることで手に入るんでしょうか? 服で人は釣れても、惹きつけておけなかったら意味がないのでは? チヤホヤされたいのなら、海のように豊かな話題と、人に楽しく話をさせる「聞き術」の方が重要なのではと、疑問を拭いきれません。
オヤジョに認定された瀬古篤子さんという方も、「他人の価値観に左右されることなく、自分の意志で生きましょう」と言っていて、「他人からチヤホヤされるための服選びをしましょう」とは180度違うことを言っているように見えます。
「DRESS」に登場する女性たちが言うことは、皆一律に「他人の目を気にせずに自分らしく、美しく生きましょう」なんだけれど、編集部からの提案は、「他人の目が大事。周りに迎合しましょう」なんですよね。読者からのニーズなのかもしれませんが、目指すところ(ゲストに呼ぶ人材)とやってることに大いなるギャップを感じずにはいられません。
最後に、毎号チェックしてきた佐野元春さんの恋愛相談連載「街空ハ高ク晴レテ」ですが、今月号で初めてお勧めの1曲が掲載されていることに気付きました。「結婚のきっかけがなくなった」という相談に対して、Paul Simonの「Think too much」をというように、各質問に付き1曲ずつ挙がっているのですが、 ピックアップした理由がどこにも書いてないので、別に聞いてみる気にもなりません……。いっそのことなくしちゃってもいいんじゃないですかね? とツッコんで、今回のレビューを終わりたいと思います。
(増井涼子)