ジュエリー、時計、腹巻き? 欲望のジングルベルと防寒グッズにまみれの「CLASSY.」
■股を制するもの結婚を制す
しかしながら今号はそんなピースフル妄想ほっこりばかりではございません。続いて紹介しますのは「CLASSY.スタッフの極寒ロケ対策おしえます」。冬まっさかりのこの時期、寒風吹きすさぶ海岸で春ものの撮影をせねばならないのがファッション雑誌の悲しい性。薄着でがんばるモデルさんへの嫌味にならない、ヒートテック、発熱タイツ、靴用カイロを駆使した防寒テクを披露しております。オシャレ職業の方たちも一皮むけば同じ人間、寒いのはつらい。
ここまでは面白イラストで紹介されており、さほどの生活感はありません。問題はここから。次ページの「『あったか下着』で着たい服をあきらめない!」をご覧ください。“ワンランク上の女”を目指す「CLASSY.」がオススメする、ババシャツ、腹巻き、長パンがズラリと並んでいるではありませんか。少し前のページではシャネルやヴィトンを煽っているのに……。決してオシャレとは言い難い、実家感漂うボーダーや花柄の腹巻きパンツたち。それは「防寒」という名目で容赦なくオシャレファッションを荒らすババア心です。「女は股を冷やしちゃなんねぇ」と、大正生まれの祖母が言っていたのを思い出しました。たぶん今号の特集で一番伝えたかったテーマはこれではないでしょうか。着ぶくれ対策でもブーツの履きこなしでもない、“股を冷やしちゃなんねえ”の教え。真の女子力とは股力なり。「CLASSY.」くらいの猛者になりますと、モテも男ウケも見た目ではなく股力勝負なのだと、勝手に解釈した次第です。
今月はほかにも「結婚したい職業別“こんなはずじゃなかった!”落とし穴」という香ばしい企画も。銀行員、商社マン、医師、そして「CLASSY.」の大好物の広告マン……お値段の良さそうな男性たちの、知られざるマイナス要素が網羅されています。しかしどんなにネガキャンを展開したところで「CLASSY.」女子たちが結婚相手の方向性を変えてくるとは思えません。「医者も結構大変だよ~」と愚痴れるのは、医者と結婚した女だけ。これは高度な自虐系自慢なのですから。自分もそのラインに立つべく、今日も「CLASSY.」女子たちは毛糸の腹巻きパンツで股力を磨くのです。
(西澤千央)