「本当にユーは腹黒い!」ジャニーさんを激怒させた、田原俊彦の「密室すかしっ屁事件」
過去に書かれたジャニーズタレントのタレント本・暴露本をガイドブックとして、ジャニーズ事務所の、そしてジャニー喜多川氏の世界「ジャニーズ・ワールド」を旅してみたい。ジャニーズ・ワールドのガイドブック6冊目は、『職業=田原俊彦』(2009年刊、KKロングセラーズ出版)。
<ジャニーさんの最高傑作になりたかった>
田原俊彦の2009年の著書、『職業=田原俊彦』(KKロングセラーズ)には、こんなちょっと切なげなタイトルがつけられた章がある。<田原俊彦はジャニーさんによって作られたといっても過言ではない>と、本書の丸々一章分を割いてジャニーさんを語っている。
まずは出会いから。高校1年の夏にトシちゃんは事務所に履歴書を送ったが、何も連絡が来なかったので、「ジャニー喜多川さんに会わせてもらえますか?」と、直談判しに行った。事務所の秘書に教えてもらった現場で(そもそも、社長の居場所を簡単に教えてくれる気さくさがすごいが)、<ロンドンブーツにバギーパンツ>という人物と出会う。
「ユーなの?」
まさかのジャニーさんだった。ロンドンブーツを履いていたとは意外だが、ジャニーさんは合宿所当時、「ユー、何を食べる?」と、<フレンチトーストやチャーハンやワッフルを作ってくれた>んだとか。さらに、衣装のデザインや裁縫も、ジャニーさんがやったこともあったという。料理に裁縫なんて、まるでお母さんみたいだ。
話を出会いに戻そう。「ああ、この人がジャニーさんなんだ。会えた、やっと、ジャニーさんに会えた!」と、無邪気に大喜びするトシちゃん。なんだかジャニーさんのファンのようである。早速ジャニーさんに気に入ってもらえたのか、「じゃあ、来週からレッスンがあるから」と、研修生としてトシちゃんのキャリアがスタートした。
当時、ジャニーズJr.のさらに下にあたる存在の研修生は、レッスン後にジャニーさんと一緒にご飯を食べて、ゲーセンによく行ったそうだ。
<ゲームのお金はジャニーさんがもってくれた。千円札を両替してはインベーダーゲームの台に百円玉をいっぱい積んでガンガン遊んだ>
スケート場やバッティングセンターにもよく行ったらしい。当時のジャニーさんはまだ40代なのに、すでに孫を可愛がるダメなおじいちゃんみたいだ。そんなジャニーさんの行動について、<僕らと一緒に遊ぶことで、研修生にスターとしてのエンターテインメント性を身につけて欲しいという狙いがあったのかもしれない>とトシちゃんは分析している。
<一見、ただ子どもたちと遊んでいるだけに見えるが、実は遊びを通して、子どもたちを観察していたように思えてならない>
<将来スターになるだろうという輝く原石を探すんだという気持ちや、こいつらを絶対にスターとして当ててやるぞという、ジャニーさんなりの思惑と意気込みがあったと思う>
こう述懐するが、実際、当時一緒に遊んでいた中にマッチやヨッちゃん、ニッキにヒガシもいたそうだから、ジャニーさんの目は正しかったわけだ。ただ、そこにはジャニーさん本人にしかわからない感性があり、<だから、昔も今も変わらず、「ジャニーさんは宇宙人みたいな人だ」と、常々僕は思っている>とトシちゃんは書いている。
トシちゃんの目から見たジャニーさんは、<とても不思議>で、<子どもみたい>だけど、<真のクリエーター>で、<世の中にかわいい男の子たちを生み出すことを自分の使命だと思っている>人物なんだそう。