外国人研修生=社長のセックス要員? ブラック企業の知られざる<黒の社則>
■家族を人質に、男女交際まで監視
そして、彼女たちには社長のふるまいに抵抗できない理由があった。
「彼女たちは雇用されるに当たって、保証金という名目でかなりの金額を会社に収める契約を社長から求められます。でも、そんな現金はすぐには用意できない。そこで、母国の家や土地を担保にお金を借りて、それを保証金に当てるわけです。その際に、『何か問題が起きた場合には、保証金は没収する』という内容で契約させられる。だから、たとえ理不尽でもこじつけであったとしても、社長から『問題あり』とか『解雇だ』などと言われたら、母国の両親や兄弟たちが住んでいる家が奪われてしまう可能性があるわけです。だから、彼女たちは何も言えないのです」(前出・労組関係者)
まるで奴隷か何かの契約のようだ。繰り返すが、正真正銘、現代の日本の話なのである。しかも、外国人研修生に対しては、雇い側がパスポートなどを取り上げたり、携帯電話やパソコンの使用を著しく制限したり、挙げ句は「友人と会ってはいけない」「私的な外出も許可制」「男女交際禁止。セックスもしてはいけない」などと、プライベートどころか人権までも制限するようなケースもあったようだ。
こうしたベトナム女性に対する事例を「外国人女性に対する特殊なものだから、日本人女性には関係ない」と考える人がいるかもしれない。だが、それは大きな誤解である。このケースはたまたま外国人女性が被害にあっていたが、こういう行いをする体質の企業というもの弱い立場の者を不当にないがしろにする性質があるといえよう。そして、企業の中で女性はさまざまな点で弱い立場に置かれやすい。パワハラが蔓延している企業ではセクハラも多いというのは、そういう体質によるものなのである。
知名度が高い大企業だからといって、優良企業とは限らない。立派な言葉で企業理念やスローガンを掲げていながら、社内ではいじめやセクハラがはびこっているケースなど珍しくない。「女性と命にやさしい製品づくり」というので入社してみたら、社内はガチガチの男体質だった、などという事例もあるから要注意だ。
外見や宣伝文句だけでは、企業というのはわからないものである。いまだに女性を差別的に扱うことを「当然だ」と豪語するような、信じがたい管理者や経営者もいるのが現実だ。ブラック企業というのは、至る所に存在しているのである。
(橋本玉泉)