サイゾーウーマンコラム介護系SNSの管理人が感じた恐怖 コラム 介護をめぐる家族・人間模様【第20話】 「成長しきれていない危うさが怖い」介護系SNSを退会した管理人が見た世界 2013/11/24 19:00 介護をめぐる家族・人間模様 ■バーチャルな友達にお金を貸すという申し出が マメマメさんもケイトさんもいろいろな事情を抱えているようだった。 「ケイトさんはシングルマザーで、2人の子どもの学費が大変らしいのに、勤めている介護の会社もなんだか訳ありらしくて、『今月も給料が遅れている』とか書くんです。私が『大変ですね。大丈夫?』とかコメントすると、ブルーマンさんからメッセージが来て『ケイトさんの言うことを真に受けない方がいい。今時そんな怪しい介護の会社はないから大丈夫』とか言ってくる。かと思うと、ケイトさんからは『ブルーマンさんや望さんは、偉そうなアドバイスばかりして、現場がわかっていない。何様のつもりだ』というメッセージが来たり。マメマメさんも、『今日もお姑さんの下の世話で大変だった』とか『主人はわかってくれない』とか日記を書くと、龍之介さん、SHOWさんたち男性陣がそれは優しいコメントを書き込むんです。そうしてほしくて日記を盛ってるでしょ? って思うくらい。そうすると、案の定ケイトさんや望さんから『マメマメさんはチヤホヤしてもらいたいだけ』とかメッセージが来る。逆に龍之介さんが深刻な日記を書くと、女性陣がそれは親身なコメントを入れる……あ、でも龍之介さんが結婚してるとわかった途端、コメントは減りましたね(笑)」 あくまでもSNSを見ている限りではと断りながら、介護職の人は一般の社会人とはちょっと違ったタイプが多いんじゃないかと小野さんは言う。 「中傷の仕方とか、大変さのアピールの仕方が中学生みたいだなと思いました。読んでいた本に、介護施設を運営しているお医者さんが『介護の仕事をしている人にはアダルトチルドレンが多い』って書いているのを見て納得しました。みんな純粋だけど、どこかで成長が止まっているのかなと」 小野さんは1年ほどでそのSNSを退会した。それなりに楽しかったと言っていたのに、なぜ? 「ケイトさんの日記がだんだんエスカレートしていったんです。お客さんの家庭や自分の状況を克明に書きすぎる。給料の遅れがひどくなって、子どもの専門学校の学費が払えない。今の職場を移れないのには訳があって、前夫と息子が暴力団関係で……とか、実家の両親は離婚していて、音信不通だった父親がガンだと連絡が来たとか、不幸のオンパレード。ここまできたらケイトさんの精神状態の方が危ないっていうくらい。しかも驚くことにそのケイトさんに、お金を貸したいという人が何人も出たんです。SNSですよ。お互いの素性も何もわからないバーチャルな世界なのに、ケイトさんの投稿を読んだだけでお金を貸すってどういうこと? 介護職の人がいくら優しいからって無防備すぎませんか? 多分、みんなどこまでも純粋でいい人なんです。私は単なるサクラ。純粋な人たちを騙しているようなものです。バレたら彼らをどれほど傷つけることになるか。そう思うと怖くなってしまったんです」 今も時々、ケイトさんやマメマメさんたちは普通の生活を送れているだろうかと思い出すことがあるという。もう一度SNSに登録して、覗いてみたい誘惑にかられることもある。「そんなことしたらミイラ取りがミイラになると思って、思いとどまっています」と小野さんは笑った。 前のページ12 最終更新:2019/05/21 16:07 Amazon 『まずは、「信じる」ことをやめなさい』 人は信じたい生き物? 関連記事 『ペコロスの母に会いに行く』岡野雄一氏の、「親と距離を置くことで救われる」介護「家族を守りたかった」脳卒中・認知症の義母の罵声に耐え続けた嫁「お前が楽をしたいだけちゃうか!」老いた父の言葉が、今も忘れられない娘「子どもが偉くなっても、親は寂しい」施設長が見た頑固な老人の空白「ゴミ屋敷同然でした」女性経営者が知った、一人暮らしのお得意様の本当の姿 次の記事 「先っぽだけ!!」は諸刃の剣! その威力とは… >