個人名刺を配り歩けば世界が広がる、人脈バカ「日経ウーマン」の浅はかさ
■名刺で人生変わるはずないだろ!
「働く女性のストレス処方箋」以外に目を引いたのは、特集「『これからの働き方』の話をしよう」。今頃になって約2年前の話題本、マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』(早川書房)をもじったタイトルをつけてくるセンスもさすがですが、この小特集も上滑りなアドバイスに溢れていました。
例えば、「自分の世界を広げるための5つのアクション」と題したページでは、「SNSを始めてみる」「個人名刺を作ってみる」「ボランティアに参加してみる」等々のアクションが紹介されています。(自称)意識の高い大学生向けの就活セミナーみたいなこと言ってますね。
ここでいう「世界を広げる」とは、どうやら「人脈を広げる」と同義であるようです。しかし、「人脈を広げる」ことでどのようなメリットがあるのか、どうすれば自分を成長させることができるのかという点には一切触れていません。人脈って、自分が何か行動した結果として後からついてくるものであって、「人脈を広げるために何かをするべき」っていうのは、アドバイスとして軸がぶれてると思うんですよね。すごい人と名刺交換したって、自分がすごくなるわけじゃないですもん。
ほかにも、「みんなのリアルごはん&お手軽レシピ」のコーナーでは、「きのこ類は食物繊維が多いのでお通じを改善」「じゃがいもは代謝を高めて手足のむくみを和らげたりする」「疲れたときは鮭がおすすめ。アンチエイジング効果が高く、脳の働きを高めてくれます」と、ひたすら薀蓄語りが続きます。「デスクワークで足がむくんでるから今日はじゃがいもを茹でようかな」とか誰も思わないんじゃないでしょうか。「旬の食材は安くておいしくて体にもいいよ」の一言で十分です。
さて、来月の「日経ウーマン」の特集は「いまさら聞けないマナーの新常識」と「やり直し断捨離術」だそうです。マナー&片づけとは、貯蓄・節約に次ぐ「日経ウーマン」の得意分野。次回も「日経ウーマン」先輩からどんなありがたいアドバイスを受けられるのか、来月を楽しみに待ちたいと思います。
(早乙女ぐりこ)