木嶋佳苗の私小説『男性礼賛』、セックス自慢に消された「死刑判決を受けた私」
この私小説は全般においても法廷で繰り広げた以上のセックス自慢とモテ自慢、上品で高貴な私自慢がちりばめられていることだろう。しかし本当に上品で素敵で教養のある人は、決して「自分自慢」などしない。自分に対する賛辞は、周りの人からなされるべきもので、自分で自分を褒めるなど愚の骨頂、お下品の極地だろう。そんな自分の下品さに、木嶋は気付いてさえいない。私をあざ笑う女は、私への嫉妬――。全ての物事を自分に都合よく解釈できる、本当にすごい思考回路の持ち主である。
そして気になるのは、先週、今週と「自身」記事には肝心の「連続不審死亡事件」についてまったく触れられていないことだ。おそらく控訴審を控えての配慮だとは思うが、名器とかセックスなどより、本来最も肝心な部分なので、是非その部分を読んでみたい。それともまさかの完全無視なのか――。一審では無罪を主張し、しかし死刑判決が下された38歳の女性が木嶋佳苗である。普通なら自分のセックス自慢やモテ自慢以前に、(木嶋にとって)間違いだらけで不本意で不当な裁判こそが最大の関心のはずだ。なにしろ人間の生命に関わることだから。しかし2週にわたるこの記事を見た限り、そういった気配は伺えない。一貫して男たちの殺害を否認し、しかし自分の意に反して死刑判決が下され、控訴審に望む木嶋佳苗。「ほかの人からは理解できない」と嘯く自身の“源”をこの私小説は本当に解き明かしてくれるのか。早期の出版が待たれる。
追記1、「自身」記事にはメディア未公開の“佳苗渾身のイケテル写真”が掲載されている。これまでメディアに出たものとは違う“素敵な”木嶋写真。おそらく佳苗提供だと思われるが、これら2枚の写真は法廷で見た佳苗より何倍も“盛って”いた。
追記2、木嶋と手紙のやり取りをして接見してきたのは、やはり男性記者だったらしい。複数でチームを組んでのものらしいが、その中に佳苗お気に入りのイケメンがいたのか気になる。この記者は記事中で、268通の手紙のやり取り、30回以上の面接、大学ノート3,000ページに及ぶ私小説を読んで、「木嶋佳苗の生き方がおぼろげに見えてきた」と記している。木嶋と最も多く接触した記者の“佳苗像”を是非聞きたいものである。