『49』の下ネタシーンから考える、ジャニー喜多川氏のスペオキの法則
今回ツッコませていただくのは、佐藤勝利主演、数々のジャニーズJr.が出演中のドラマ『49』(日本テレビ系)の衝撃。
息子をかばった父親が交通事故で亡くなり、息子の身体を49日間だけ借りて生きるというストーリー。内容や演技力云々は置いておいて、「衝撃」だったのは佐藤勝利がバリバリの下ネタをやってのけていることだ。「父親の魂が息子に入っている」という設定のため、母親役(つまり、魂にとっては奥さん)の紺野まひるにキスしようとしたり、胸元を見たり、尻を見て欲情したりというシーンがたびたび出てくる。
挙げ句、男子恒例の(?)「朝勃ち」シーンもある。
でも、衝撃の理由は、そんな下ネタ自体ではない。深夜ドラマだし、特に過激なわけでもないのだが、それを演じてみせるのが、ジャニー喜多川氏のいわゆる「スペオキ」のSexy Zone・佐藤勝利だということが衝撃なのだ。
女性ファンの場合は一般的に、お気に入りのタレントには「キスシーンなどをやってほしくない」という人も多いだろうに、ジャニー氏の場合はなぜかスペオキにキスシーンなどをやらせることが多い。
もう1人のスペオキ・中山優馬も『ぴんとこな』(TBS系)で川島海荷とキスシーンをやっているし、そもそも元祖(?)であり最上級のスペオキ・堂本剛などは『人間・失格~たとえばぼくが死んだら』(TBS系)で堂本光一とファーストキスシーンを披露しているくらいだ。「ジャニー氏はもともとテレビよりも舞台に思い入れがあるから、テレビは無関心で見ていない」という理由も考えられなくはないが、でも、どちらかというと、積極的にスペオキにキスシーンなどをやらせたがっているようにみえてならない。そして、それを見て楽しむという、特殊な愛のかたちなんじゃないかと思ってしまう。
というのも、キスシーンばかりでなく、スペオキは気の毒な目に遭うことが多いからだ。もちろん、たくさんの仕事をもらえるという点では、大いに恵まれた境遇にあるわけだが、そのせいで病んでしまうタレントもいる。途切れることなく事務所から押され続けることによって、本人がいくら真面目に努力しようとも、叩かれ続ける中山優馬などは、スペオキの悲劇としか言いようがない。
ちなみに、中山優馬には現在、「居場所」がない。中山優馬が所属しているNYCは、これまで一度もコンサートをやったこともなければ、アルバムを出したこともなく、発売されていない曲が何曲もある状態。NYCとしての雑誌の連載もなくなり、実質活動休止中といわれている。Y(山田涼介)を「心の支え」、C(知念侑李)を「心の癒やし」と言い、Yとはプライベートでも連絡を取り合ったり、唯一相談できたりする仲だというのに、NYCの解散説も一部でささやかれており、ますます孤独な立場に追いやられている。自分のスペオキばかりを追い詰め、傷つけていくのは、一種の趣味にもみえる。
だが、そんな中で、どれだけ不条理に押され続けても、叩かれてもまったく揺るがない強靭な精神の持ち主・佐藤勝利こそが、社長の寵愛をまるごと受け止められる相思相愛の関係だと思える。佐藤勝利がドラマで見せるアレやコレを、ジャニー氏はどんな思いで眺めているのだろうか。そんなことばかりが気になってしまう作品だ。
(田幸和歌子)