カルチャー
「野心」によって引き裂かれる、ジェンダーとセックス
2013/09/11 20:00
●ルーザー vs ウィナー
前回のコラムでは、ユリイカ7月号『女子とエロ・小説篇』(青土社)の対談『ダウナーなルーザーのための小説』にて、バブルの熱狂やアッパーなセックス観にノレない女性作家の小説が、同様の感覚で生きる若い読者に共感と安堵を与える時代性を学び、自分のセックス観や勝ち負けの意識について、改めて考えさせられたことを述べた。
今回は、その対談と同時期に読んだせいで対比せずにはいられなかった、林真理子氏『野心のすすめ』(講談社現代新書)について触れてみたい。
全5章より構成されている本書には、社会的成功を収めた「ウィナー」である林氏の剥き出しの野心が、余すところなく散りばめられている。
・ 『若いうちの惨めな思いは、買ってでも味わいなさい』
・ 『やってみる価値がある、面白そうだと思ったことは、恥をかいてでも、とりあえずやってみる』
・ 『理想の最低ラインは、いくら“最低”でも高めに持つべきなんです』
最終更新:2013/09/11 20:00