「SEXにはとても臆病だった」ジャニーズ時代の田原俊彦の“危険”な1冊
読んでる方が赤面しそうな、生々しいエピソードだ。しかし、当時のファンはこれを読んでどんな受け止め方をしたのだろうか。人気のアイドルの赤裸々な恋バナはショックも大きいだろう。それでも、「こっからどうなっちゃうの?」と思いページをめくると、<そして、数か月後……><やがてボクたちに別れの日が来た>。あれ、いきなり時が進んでいる。別れちゃったのか。この「数か月」、2人がどう過ごしたのか、それはご想像にお任せしますという感じだろうか。やっぱり肝心なところはアイドルとして守っているようだ。
ちなみにトシちゃんの好みのタイプは、<(バストの)サイズは83ぐらいが理想だ。ウエストは60センチぐらい。ヒップは88。全体的にバランスがとれている子がいいな>と、まずは具体的な数字をあげ、<でも、いちばん大切なのは、セクシーな雰囲気を持っていることだ>と展開。そして、<純粋で、それでいてしぐさとか行動がセクシーだったら、ボクのフィーリングにピッタシカンカンだと思う> と、やっぱり最後にどことなく「笑い」が入る。
■笑いを封印し語った決意
タレントとしてデビューするまでの話に、ボリュームの半分近くを割いている本書だが、もちろんジャニーズタレント田原俊彦としてのエピソードも満載で、いろいろ見逃せない。本書が刊行された後、『教師びんびん物語』とその主題歌『抱きしめてTONIGHT』が大ヒット、トシちゃんのビッグ化はますます進んでいくが、それからさらに数年たった現在のトシちゃんを知った上で読むと、切なくなる描写もある。
<ひとつだけ、プライベートという面で、ゼッタイ人に見せないボクがある。それは信じてた人に裏切られたり、肩すかしをくったときのボク……>
バッシングを受けたトシちゃんのことを思うと、ちょっと胸に迫るものがある。
<落ちるときもひとり。(中略)誰も助けてくれない。だから絶対に負けたくないんだ。ホントにひとりなんだ。ひとりでガンバっていくしか、いまのボクには道が開かれないとさえ思っている>
本書の一番最初に、力強い手書き文字で書かれた次の一文にも、心打たれた。
<いつもひとりぼっちで生きてきた気がする 強い男になりたかったから……負けるのは嫌いだ!!>
本書の最終章では、ジャニーさんやスタッフ、ファンなど周りの人に支えてもらえたから今の自分があると、ビッグなキャラとは異なり、謙虚に感謝の言葉を綴っている。そして、86年トシちゃんは高らかにこう宣言している。
<ボクは永久にアイドルを続けるよ(中略)いつか最高の男になって、君を迎えにいきたい>
「永久アイドル」。ビッグマウスだからファンも夢を見られる。トシちゃん、カッコいいな。もう「最高の男」にはなれましたか?
(太田サトル)