「しんどい母」の立場から、娘を褒められないママの葛藤をえぐる「VERY」
■「VERY」妻は体がいくつあっても足らない?
もう1つ、読み物ページで目を引いたのは、「私たちの『トークレス』問題!」です。サブタイトルに、「セックスレスはともかく……仲はいいのに、会話がない」とあります。正直、会話がないなんて、仲がいいというのも疑わしくなってしまいます。
この特集では、会話のプロや「聴く講座」の講師、心のケアの専門家にインタビューをしているんですが、ちょっとした疑問も。「女性は一方的にしゃべり、対話でなくスピーチになっており」「女性は最初から全過程を話そうとする」「相手が話しやすい態度を心がけること」など、夫婦の会話をテーマにしているのに、女性側が配慮すべき事柄ばかり書かれているんです!
もちろん、「VERY」は女性誌ですから、女性側の改善法が紹介されているのは当然なんですが……なんとなく、「男性の理路整然とした話し方こそが正しい」「男性は理路整然としていない話は聞けない」と言われているような気になってしまいました。男性の話し方が正しくて不動であるから、女性が合わせていくしかないとも取れる内容でした。
実際問題、男性に「ここをこうして」とお願いするより、女性が男性に配慮した方がうまくいきやすいし、結果的に面倒臭くないことは往々にしてあることですが、なんだか胸がモヤモヤしてしまいました。
今月号はほかにも「夫の転職、狂想曲」という記事もありました。経済力のある夫を持つであろう「VERY」読者にとっても、夫の転職や失業は他人事ではないんですね。経済的な心配はもちろんのこと、周囲の目線を気にしたり、夫を気遣ったり、なのにそれが裏目に出たりと、夫の転職、失業においても、妻の気苦労は絶えないようです。
先ほど「VERY」のような結婚をしたいならば、体力が必要と書きました。しかし「VERY」妻には、家庭内トークレスを防いだり、夫の転職・失業による経済問題への対策、夫の心のケアまでしなければならないようです。憧れだけでは務まるものではなさそうですね。
(芦沢芳子)