カルチャー
「ホンモノの天才」って!?

『風立ちぬ』大ヒットで急増中の“堀越萌え”が危ない!?

2013/08/26 21:00

 ホンモノの天才……このAさんをはじめとする堀越萌え女子たちの意見から浮かぶ人物がいる。そう、世界が認めた大天才であり、世界に名だたるだめんず──スティーブ・ジョブズ、その人である。

 飛行機の設計において、何よりも美しさを優先させる堀越と同じように、ジョブズもユーザーには見えないPCの基板にまで美しさを追求したことはよく知られている。仕事にかける情熱も非常に高く、評伝『スティーブ・ジョブズ』(講談社)には、死の間際までテレビを誰も「想像したことがないほどにシンプルなユーザーインターフェースにする」べく構想を練っていたと書かれている。堀越萌え女子が挙げる胸キュンポイントを、ジョブズはかなり押さえている。

 しかし、ジョブズの恋愛エピソードも、これがまたひどい。看病ができるわけでもないのに、結核に侵されているヒロインに求婚する堀越の行動もすごいが、ジョブズにも驚く。23歳の時、恋人に妊娠を告げられたジョブズは堕胎を推奨、彼女は中絶を選ばず、娘・リサを出産したが、ジョブズは認知も拒否。さらには、認知と養育費を求めて起こされた裁判で、彼女を「売女」と罵るのだ。堀越と比較するのが憚られるほどのだめんずっぷりである。

 DNA鑑定によってリサを渋々認知した後も、雑誌記者に「あの子の父親である可能性は米国人男性の28%にある」などと話し、往生際の悪さを見せていたというジョブズ。だが、最も衝撃度の高いのは、ちょうどその頃、開発を進めていた新しいコンピュータに「LISA」と名付けたことだろう。自分が見捨てた子どもの名を、ぬけぬけと付けてしまう神経──この大いなる矛盾や人の心を逆撫でする行動も、不思議なことに今では天才ジョブズを語る上で欠かせないエピソードのひとつとなっているのだ。

 そもそも、「この人には才能がある」と信じて応援しているうちに、男がヒモ化していくというのは、だめんず好きの女子が陥りがちなよくあるパターン。万が一、才能を開花させたとしても、ジョブズよろしく、こっぴどく捨てられる可能性も大いにあるわけである……。

 さらにいうと、堀越二郎は宮崎駿自身とも大いにダブる。子どもたちに良質なアニメを届けようと夢を追求し、世界から名声を得る巨匠となった宮崎だが、その陰で家庭を顧みなかったことは、息子の吾朗が屈折した表情で幾度となくメディアで語ってきた通り。ということは、もし堀越萌え女子が堀越二郎のような天才彼氏と結婚したとしても、やがては父親vs息子という、くしくも庵野が監督を務めた『新世紀エヴァンゲリオン』でも描かれた壮大な親子ゲンカが待っているのかもしれない。……「なんだかそれも萌える!」と言われれば、ぐうの音も出ないのだが。

最終更新:2013/08/26 21:00
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