「nina’s」の時短特集は、丁寧な暮らしをできる環境をアピールする場所
■「子育て」じゃなくて「手伝い」です
「nina’s」で持て囃されるのはクリエイティブなママだけではありません。ママもクリエイティブならパパもクリエイティブ。パパのクリエイティブな子育てが礼賛されるのが「nina’s」です。続いて紹介するのは「パパ芸人に聞く イクメン養成講座」。イクメンと呼ばれる芸人たちがインタビューや座談会、24H密着でその秘訣や本音を語っています。
育児に積極的な男性を意味する「イクメン」。しかしその言葉の持つ胡散臭さ、広告代理店臭から今ではなんちゃってな育児をする父親を揶揄する場合に使われることが多くなりました。もちろん「nina’s」では本来の意味で使われています。ただし登場するのは、「イクメン」が持つお金の臭いを真っ先に嗅ぎつけた、よしもと所属の芸人たち。「nina’s」に育児コラムを持つロンブー田村亮をはじめ、FUJIWARA、元Bコースのタケト、2700のツネ、スリムクラブ・内間政成、フルーツポンチ・亘健太郎。知名度の高い人もいれば、いわゆる「じゃないほう」芸人も。それが「イクメン」という言葉によってフィーチャーされるわけですから、やっぱりイクメンは魔法の言葉です。
FUJIWARA・藤本敏史を除き、ほとんどの妻が専業主婦。24H密着レポートを見ても、基本的な家事育児は妻が担当し、イクメン芸人たちはオムツ替えや沐浴、遊びを担当というパターンが多いよう。「好きな仕事させてもらってるという感謝の気持ちもあるし、嫁が家事の合間に娘のおもちゃや僕の服を手づくりしてくれたりしているのを見ると、自分も頑張らなきゃと思うんです」(タケト)。今も昔も「自身は目立たず、売れない時代から陰で支え続ける」のが美徳とされる芸人妻。笑いというクリエイティブな仕事に携わる夫を支える芸人妻は、スタイルはオシャレでも中身は保守的な「nina’s」の理想のママ像にピッタリ。オシャレに隠された保守揺り戻しというのもまた、「nina’s」を語る上で外せないキーワードなのです。
仕事がヒマでも育児に関わってさえいれば「イクメン」というプラス評価がもらえるイクメン芸人、パパ芸人とはなかなかおいしい立ち位置かもしれません。それは元グラドルたちが出産を経てこぞってママタレに転向するのにも似ていますが、ママタレがややもすれば世間からの攻撃対象になるのに対し、どちらかといえばイクメン芸人たちは好意的に捉えられています。母親に厳しく父親には甘いこの社会構造が続く限り、イクメン芸人は安泰なのかもしれません。
「手伝ってもらいたいと思ってる方は、なるべく柔らかく、甘えた感じでお願いしてみましょ」「もし嫁から『こっちは忙しいんだからオムツぐらい替えてよ!』とか命令されていたら、逆に何もやらなくなっていたかも」など、インタビューの端々に“夫のイクメン、ママ次第”を匂わせていたこの特集。奥様の本音としては「オムツ替えよりレギュラーを」だと思いますが。
(西澤千央)