サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「nina's」の時短特集は単なる自慢 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「nina's」9月号 「nina’s」の時短特集は、丁寧な暮らしをできる環境をアピールする場所 2013/08/21 21:00 女性誌速攻レビューnina's 「nina’s」(祥伝社)2013年9月号 ママになってもカワイくオシャレにクリエイティブに過ごしたい! オシャレついでに環境についても考えたい! 子どもにはキャラクターものとか絶対着せたくない! そんな独自のこだわりを持つ親たちが多数登場する育児誌「nina’s」(祥伝社)。今号はそんな「nina’s」と相性ピッタリの松嶋尚美が表紙を務めています。自由奔放で個性的なママとして、現在オシャレママタレのイスを堅守している松嶋。インタビューでも「(楽屋に訪れたNEWSの手越祐也と初対面した息子が)イケメンやからライバルと思ったんかな? 睨み始めて(笑)」など親バカ発言を連発していました。松嶋といえば6月に第二子“空詩(らら)”ちゃんを出産し、いわゆるキラキラネームがネットで賛否両論を巻き起こしたばかり。しかし、考えてみたら松嶋家は夫が“TOCCO”、長男“珠丸(じゅまる)”、そして長女“空詩(らら)”、こうなるとむしろ尚美の方が変わった名前に見えてきます。昭和な名前が浮いてくる……松嶋家はこれからの日本社会を象徴しているのかもしれませんね。 <トピックス> ◎くらしがもっと楽しく! みんなの時短24H ◎パパ芸人に聞く イクメン養成講座★ ◎松嶋尚美 お産を語る ■時短じゃなくて自慢 今号の特集は「くらしがもっと楽しく! みんなの時短24H」。「nina’s」ウォッチャーならすでにお気づきでしょうが、「nina’s」では手を替え品を替え、この手の“オシャレママたちの暮らし拝見”企画を繰り出してきます。そういえば2012年の9月号の特集も「密着! おしゃれママの24H(じかん)」で、MEGUMIが神のような上から目線でアーティスト妻流子育てを語っていましたっけ。 そして今回の切り口は“時短”。世の主婦たちが「時短のためなら半日棒に振っても構わない」と願う、あの憧れの時短です。しかし「nina’s」読者とは、コーヒーなら豆から挽く、CDじゃなくてレコードに針を落とす、クリエイティブな生活の申し子。ホットケーキミックスも自家製しちゃうような、丁寧に暮らすことを本懐とする方々。時短という手抜き文化との相性はいかに……? 案の定、登場する鈴木紗理奈、読者モデルでブランドプロデューサー、元プレス現専業主婦、誰1人として特に時短らしい時短はしていません。「洗った食器はカゴに入れたまま自然乾燥」「夜のうちに朝着る服を決める」とかフツー。筆者が「時短=伊東家の食卓的ミラクルテク」という大きな誤解をしているだけなのでしょうか……。元ブランドプレスの専業主婦は「専業主婦なので、“時短”をするほど時間に困ってない」と企画意図をさりげなく全否定してました。 そうなんです。この特集のキモは「いかにせこせこ時間稼ぎをしたか」ではなく、手作りおかずを小分け冷凍したら「手抜きしてます☆」というその世界をアピールしたい、そして時短でできた余裕TIMEでこんなステキなことしてますよとアピールしたいということ。「みんなの時短テクとごほうびTIME24H」で取り上げられているママたちのごほうびTIMEを拝見すると、「朝からおしゃれツタヤで女子会」「ちくちくと子どもの洋服作りをする」「梅シロップや石けんを手作り」「ミキサーでDJ活動に没頭する」「ウクレレの練習」などなど、期待を裏切らないクリママセンスが爆発していました。時短から見える「nina’s」の穢れなきステキな暮らし信仰。多くの女性誌が見え透いた虚構から脱却しようとする中、「オシャレなことしかしたくない」という欲望をここまでストレートに表現できるのは、「nina’s」だけ。「nina’s」における時短とは、シアワセとオシャレの貯蓄、なのかもしれません。 12次のページ Amazon 「nina's」 関連記事 「nina's」のママは、ママ友不要? 友だちになる基準はやっぱり「オシャレ」自ら“おしゃれ業界ママ”と言ってしまう「nina’s」の自家発電ぶりオシャレとセックスは相性が悪い!? 「nina’s」読者もセックスは子作り限定悩みナシ、思想ナシ、ただおしゃれ! 「nina’s」を体現する女・松嶋尚美"育児をクリエイト"したがるパパだらけ! 「nina's」から漂う新たな臭み