芸能
過激でも笑えなきゃ意味ないけどね

加藤浩次はヌルい! 80年代過激バラエティは「芸人に東大生の血を輸血」

2013/08/17 10:30
『80年代テレビバラエティ黄金伝説』(洋泉社)

 先日放送されたフジテレビ系『27時間テレビ』内の『めちゃ×2イケてるッ!』枠で勃発した、極楽とんぼ・加藤浩次の「まゆゆ頭蹴り」騒動。ゲストで出演していたAKB48の渡辺麻友の頭を、加藤が足で蹴ったことに対して、Twitter上では「女の子の頭蹴っておもしろいの?」「何か越えちゃいけないラインを越えた気がする」「いくらなんでもやりすぎだ」との批判が噴出した。まゆゆファンは、「加藤浩次、殺すしかない」と怒りをあらわにし、まゆゆが「私、ひと皮むけた気がします」と宣言した今も収束を見せていない。

 しかし、アイドルの頭を蹴るというのはまだまだ手ぬるいと思えるほど、昔のテレビ番組はもっと過激だった。挑発的で危険が満載――そんな懐かしの番組を『80年代テレビバラエティ黄金伝説』(洋泉社MOOK)から紹介しよう。

 まず、アイドル相手でも手加減しなかった番組といえば、秋元康が手がけたおニャン子クラブの番組『夕やけニャンニャン』(フジテレビ系/1985~87年)。とんねるず・石橋貴明は観覧席の中高生にケリを入れるのが“お約束”だったが、おニャン子クラブのメンバーに対してもセクハラ発言を連発し、ツッコミという名の罵詈雑言を容赦なく浴びせるといった、今のAKBファンなら卒倒しそうな内容だった。当然、当時もファンから反発を買うこともあったが、石橋はお構いなし。こうした予定調和を壊した自由さが、現在、秋元康によるAKBの“ガチ”演出につながっているのは間違いない。

 また、1980年代前半に放送された『ザ・ガマン』(フジテレビ系)は、体力自慢の大学生たちが「スケートリンクを体育座りの状態で引きずられる」「水車に縛りつけて回転」といった過酷な試練にひたすら耐えるという番組。逆さ吊りにした上で袋をかぶせ、そこにゴキブリを入れるなど、映像的にも確実に今ではNGな競技のオンパレードだった。中でも「大量の水を飲ませて、先に小便をしたら負け」という試練では、水を飲んだ後に縄跳びをやらせるなど「まるで公開SMショー」のようだったという。

 もちろん、芸人相手となれば過激さはさらにヒートアップ。中でも過激な番組として金字塔となっているのが、79~84年に放送された『いじわる大挑戦』シリーズ(テレビ東京系)だろう。タレントたちが番組からのさまざまな指令を実行する内容だったが、その目玉は動物ネタ。「ワニの歯形をとれ」「虎にパンツをはかせろ」「ネズミ200匹入り小箱に顔面を入れろ」などなど、話が通じない動物相手に、時にタレントたちは“本気で”震え上がる。それがドキュメンタリー番組さながらの緊迫感を生み出していたのだ。

 この『いじわる大挑戦』の演出は、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系)で頭角をあらわす直前のテリー伊藤。ADをやっていたのは、後にAVメーカーのソフト・オン・デマンドを創業する高橋がなりだ。彼の証言によれば、テレ東のプロデューサーは「なにをやってもいいから、20%取れ!」と強気だったそうで、この言葉にテリーもがなりもやる気を掻き立てられ、「どんどん過激な企画をやっていった」のだという。実際、過激さをウリに20%を獲得したというのだから、これぞ“テレ東の本気”といえよう。

 過激さで鳴らしたこの番組の企画の中でも、取り分け伝説となっているのは、“たこ八郎に東大生の血液を輸血したら、知能指数はあがるのか”という企画だ。発案者のテリーは信憑性を求め、大学病院でのロケを命令。無論、断られまくるのだが、何を思ったか某大学の精神科の医師が出演を許諾! たこ八郎の知能指数を計るところまでは撮れたが、さすがに病気でもない人間に輸血は行えなかったらしく、どうにか輸血をしてくれる町医者を見つけ出し、放送にこぎつけたという。案の定、出演した精神科医は大学から始末書を書かされたそうだが、これだけで済んだのは時代のおかげ。もしもこれが今なら、放送倫理・番組向上機構(BPO)が問題番組と乗り出すのはもちろん、「人権侵害だ」と社会問題になっているだろう。

 時代とともに視聴者のリテラシーが高まったのか、それともクレーマー化が進みすぎてしまったのか──紹介した過去のバラエティ番組にやりすぎ感は否めないが、しかし、ひな壇芸人に頼りっきりで斬新な番組が生まれない現状には、批判を過剰に恐れる制作現場にも問題がある。今回の加藤浩次の騒動についても、以前にはBPOからの批判を見事笑いに昇華したこともある『めちゃイケ』なのだから、決して萎縮などせず、ぜひ逆手に取って低迷気味な番組の勢いに変えてほしいものだ。
(本田彩)

最終更新:2013/08/17 10:30
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