「E.T.のような手」の改善に励む!? ないものねだりを辞めた「美ST」
田中将大投手夫人である里田まいの良妻っぷりが注目されています。偶然にも「美ST」(光文社)9月号で、「『あげまん』という名の美女がいる!」という企画が掲載されていました。元陸上選手・朝原宣治夫人の奥野史子、アートディレクター・佐藤可士和夫人の佐藤悦子ら有名人の妻を含む“あげまん”が7人登場し、
「嫁に疲れる・子供に疲れる家にならないよう、要らないことは言ったり聞いたりせず常に笑顔で、夫の様子を察知」
「夫がのびのびと好きなことをできるようにサポートすることが私の喜び」
「自慢の妻でいたいから、自分磨きも手を抜きません」
といった良妻コメントを繰り広げています。これまで基本的に「私が主役として輝いていたい」という感覚が誌面全体を彩っていた「美ST」ですが、この企画では完全に脇役に徹しています。なぜ「美ST」でこんな特集が組まれたのか、考えてみたいと思います。
<トピック>
◎「あげまん」という名の美女がいる!
◎ああ、“細ぶちゃいく”な私が怖い!
◎老眼にだって未来はある!
■セックスするためだけに女を維持しているわけではない
長らく「美ST」は、「若作りしてイタい、キモい」と世間から白眼視されてきました。40代以上の女性が若さや美しさを保とうとすると、「いつまでも女を降りてない」「男に色目を使ってる」「そんなにセックスしたいのか」と思われてしまうんです。もちろん恋したっていいし、セックスしたっていいんですが、別に恋やセックスだけを目的として、若さや美しさの追求するわけじゃないんですよね。それは40代だろうが、20代だろうが同じことではないでしょうか。
何かを得るためだけに努力するわけじゃない。冒頭で紹介した「あげまん」企画で登場した女性たちも、ダンナ様に仕事をがんばってもらってたくさん稼いできてほしいから尽くしているという面は確かにあるのですが、それが第一の目的ではありません。「いつまでもいい夫婦でいたい」「夫には感謝の気持ちをきちんと言葉で伝えています」「夫婦笑って過ごしたい」と語り、部屋を掃除して清潔に保ち、料理に腕を振るって夫の健康を保つ。それと同じように、日常の営みの一部として、自分の容姿を保っていたいと考えているようです。美容が「セックスしたい」「ちやほやされたい」「玉の輿に乗りたい」などの欲求を叶える手段である目的達成型美容ではなく、現状維持型美容とでもいいましょうか。新しい王子様を探すのではなく隣にいる夫を励まして生きる、美容医療に大金をつぎ込んで大改造するのではなく40年生きてきた欠点だらけの我が身をDIYでメンテしていく。そんな穏やかな思想に今月はシフトしているように感じました。