「2穴挿入に興味がある」妄想路線に寝返った「an・an」セックス特集
■OUTテクニック、INサブカルのセックス特集
男性122人にアンケートをとった企画「愛されるSEX、逃げられるSEXの意外な真実」。男子のセックス観を問う内容で、質問内容は「あなたはセックスが好きですか?」「前戯でしてもらって嬉しいことは?」など定番のもの。目新しさはありません。「どこを攻められると感じますか?」の回答の80%が「性器」なのには「そりゃそうだろ!」という脱力感すらあります。しかし注目すべきは、このアンケート結果を受けて、編集者とライターがトークを繰り広げるコーナーでの発言です。
「ananでこれまで、男子が喜ぶHのテクニックを一生懸命探し続けてきたのに『テクニックはどうでもいい』って言う声が多かったのはショックよ」
「an・an」が2013年に気付いた真実。それは、「女にテクニックは不要」だったのです。思い返せば、一時期は過激なテクニック指南企画が多かった「an・an」セックス特集。極端な例を出せば、「アナル舐め」を推していたことまでありました。北原みのりの『アンアンのセックスできれいになれた?』(朝日新聞出版)にあるように、読者から「『an・an』のセックス特集は本当に女性のために作られているのか?」「男にとって(性的に)都合のいい女を作っているだけなのではないか?」「風俗嬢を作りたいのか?」という不信感を持たれたこともありました。しかし、今年の「an・an」セックス特集には、そのようなテクニック紹介はほとんどありません。
では、テクニック指南に割いていたページを埋めるのはなにか? ずばり「サブカル」です。最近の「an・an」は、雨宮まみ、少年アヤちゃん、まんしゅうきつこなど、Twitterやサブカル系媒体で活躍中の人々を積極的に取り入れてきていますが、今回のセックス特集でもその風が吹いています。
少年アヤちゃんによるビッグダディインタビューに「ダディは肛門性交についてはどうお考えでしょう?」「したことも、されたこともない」というくだりがあったり、BL・青年向けで活躍中の漫画家・阿仁谷ユイジによるエロコミックが掲載されていたり、山本直樹と江本純子に「“最高のSEX”って何ですか?」と聞いたりと、サブカル文化人にエロ観をうかがうページが満載。男女の関係ではなく、「男男」「女女」の関係にも触れている辺りも、前年までの「an・an」セックス特集とは違い、幅が広がっているように感じます。アフターピル・避妊についての記事など、肝心なところはちゃんと茶化さずに書いているのも好感が持てます。
坂上忍&土田晃之が決められたテーマについて語る連載「あなたがいいならそれでいいけど」(今回のテーマは「セフレ」)、『失恋ショコラティエ』(小学館)などの漫画家・水城せとなの恋愛相談コーナーなど、セックス特集以外の部分も充実の今号。オタク・サブカル女子に特化した新たな「an・an」セックス特集、一読の価値ありです!
(青柳美帆子)