布川敏和、やる気満々で仕込んだ一家総出の “浮気・離婚ネタ”商法の悲しさ
先週発売の「週刊文春」(文藝春秋)が報じた衝撃のスクープ。それがCHAGE&ASKA飛鳥涼のシャブ中記事だった。記事によると飛鳥が現在末期的な覚せい剤依存に陥っており、意味不明な言動を繰り返しているのは知る人ぞ知る話であること。復活ライブ延期も覚せい剤に起因するトラブルが原因であること。それだけでなく、飛鳥は覚せい剤を吸引するビデオを親しい暴力団関係者に盗撮された上で脅迫を受けるなどトラブルに発展しているというのだ。国民的人気歌手の大スキャンダル――。
この一報を受けて「自身」が飛鳥の父親を直撃しているのが2位の記事なのだが、これが大変面白い。元自衛官で剣道七段という83歳の父親は、その経歴からもうかがえるように矍鑠とした人物のようだ。そして「自身」記者をきちんと自宅に招き入れてくれた上で、「週刊文春」記事を「全く信用していない」と一刀両断にする。その根拠として、最近息子の嫁と電話で話した際「心配ない」といわれたこと。息子に剣道を教えるなど厳しく育て、息子も頑張り屋だった。剣道を通じて警察官とも付き合いが多く、また最近も親子で剣道大会に参加していること。体調不良なのは激しいスポーツをやりすぎて“スポーツ心臓”になったからではないかなどとを挙げ、一貫して「息子はそういう奴ではない」と全面否定したのだ。もちろん、だからといって飛鳥の薬物疑惑が晴れるものではないが、それは親心。父親が息子を信じるのは当然なことではある。
しかし、興味深いのは父親の息子を信じる気持ちや覚せい剤使用の事実関係ではない。父親が息子を擁護するために“比較例”を出してきたことだ。飛鳥父は取材に対し息子の疑惑を全否定した上で、思い出したようにこんな話しをし始めた。
「そういえば、この家にも長渕剛が来たことがある。彼が逮捕されたときにも息子は『なんで薬みたいな馬鹿なことをやるのかなぁ』といってたほど」
すごい。息子の疑惑を晴らす根拠として息子とアーティスト仲間であり、しかも過去に大麻所持で逮捕された大物コワモテの歌手・長渕剛を引っ張り出したのだ。息子は薬物に手を出した長渕を批判していた。だから息子は「(長渕と違って)やっていない」という2段論法。やるなぁ、お父様。考えればかなり無理やりのすり替え理論であり、長渕にとってはとんだとばっちりである。しかし御年83歳の元自衛官、さすがは怖いもの知らずだ。芸能界の力学、人間関係を見事に無視したナイスなコメントである。息子と長渕の今後の関係さえも配慮しない本音トーク。さらに「長渕剛」大きくフィーチャーし、前面に押し出したタイトル付けした「自身」も大変グッドである。目次を見ただけでギョっとする。長渕をタイトルに持ってきた、それだけの理由でランクインとした。
そして――この記事を見てコワモテ・長渕はどう反応するのか。何らかの“リアクション“を是非期待したい。
土屋アンナの舞台中止騒動は双方譲らずドロ沼化しそうだ。当然、「セブン」「週女」2誌もこのネタを取り上げている。「週女」は裁判になった際のシミュレーションをして喧嘩両成敗的な記事を、一方の「セブン」は版元の小学館と土屋アンナとは仕事のつながりが少なくないからか、かなりアンナ寄り。しかし「自身」は無視。「自身」発行の光文社は舞台の原案である『日本一ヘタな歌手』の発行元でもあり、よって通常なら今回の騒動の当事者でもあるはずだが「全く関与していません」と無責任ぶりを披露する始末。絶版になった本だからもう関係ない、ってそれでは出版社としての姿勢に問題アリだろう。「自身」も自社の問題を頬かむりするばかりでなく、話し合いに同席した担当編集者に直撃して真相を明らかにするくらいの気概を見せてほしい。絶対無理だと思うけど。