『JMK 中島健人』のラブホリとは、大学生バカップルのことなのか
<Sexy Zoneの中島健人。ジャニーズきっての王子様な性格の彼がカメラを相手に仮想デートを繰り広げ、「恋人への接し方」「リアクション」などを垣間見る“恋愛バーチャルドラマ”番組!>(番組HPより)
アイドル雑誌でポエムを披露したり、ファンのことを「姫」と呼んだり、ソロ曲では棒つきキャンディの小道具を持ったJr.を従えてトミー・フェブラリーみたいなチアポップを歌い踊ったりと、ある意味での「ドルドルしさ」の王道を行く中島健人の魅力を全開に引き出してくれるような番組だ。
そんな健人のバーチャルデート番組、『JMK 中島健人ラブホリ王子様』(日本テレビ系)。7月8日深夜に放送された第2回の設定は、“二人の初めてのデート”。連れて来られたのは……ホームセンター。なんだこのチョイス。
「欲しいものあるんだよね」
という健人。何が欲しいのかと思えば、
「筆ペン」
……!? デート場所も欲しい物も、予測できない角度でくる。売り場で、
「ここでまたお前に方程式教えるわ」
そう言って、試し書き用紙に書いたのは、<出会い=一瞬=永遠>。何が方程式なんだか、わかるようなわからないような感じだが、ポエマー成分が出てきていることはわかる。さらに、<スキ>と大きく書き、
「また2人でここに来たときに、この紙があったら、なんかうれしいよね」
ずっと残ってる試し書き用紙ってあるのか。前半のここまでのやり取りだけで、すでにおなかいっぱいだが、「彼女」が見たいといったゴミ箱の売り場では、選んだゴミ箱を、
「オレが世界にひとつだけのゴミ箱にしてあげる」
と言い出す。どうしてくれるのかというと、
「このゴミ箱に絵描いて、お前の部屋に合うような感じにするから」
健人の落書き入りゴミ箱か。はたしてそれは、うれしいのか、どうなのか。それは見てる「彼女」側の判断か。というか、この番組は見ているこっちは全員「彼女」ということになるわけか。そう思うと、なんだかバーチャルモノのAV みたいでもある。健人さん、さっきから散々愛を語りかけてくれているけれど、見てる筆者は男だがいいですか。
ゴミ箱に話を戻すと、いつもゴミ箱に嫌なことを「捨てちゃう」んだと言いながら、ゴミ箱を口にあてて、
「今日、お前と2人でちょっと緊張してます!」
そして、
「次お前の出番、ハイ」
そのゴミ箱を、彼女視点のカメラに向ける。ゴミ箱の底が数秒間、画面に大写しに。シーーン。無音でただただ映るゴミ箱の底。しかもそれが、2回。またシーーン。そして、
「嫌なこと全部、飛んでけ!」
ブーン。ホームセンター店内で、こんなことを叫びながらゴミ箱を振り回す。……もうヤダこの人、恥ずかしい……って、ちょっと彼女気分になってきてしまった。
次はカー用品売り場へ。健人がバイク用ヘルメットを物色し、かぶる。そして、バイクのハンドルポーズをとったかと思うと、
「気合入っちゃうなぁ。じゃちょっと行ってくるわ!」
何が始まるの!?
「ウーーーーン」
口でバイクのエンジン音を鳴らし、ハンドルの構えのまま、奥に消えてった。さらに、
「乗れよ、後ろ」
まさか……!?
「つかまれよ」
……エアバイクごっこに参加するのか。
「ウーン、ウーーーーン」
再びエンジン音を口でかき鳴らし、健人と二人乗り。超恥ずかしいぞ。行き着いた先は、アウトドアコーナーだ。テントの中に入って、一緒に寝そべり、大声で願い事を叫ぶ健人。お客様!? って店員さんが飛んできそうだ。浮かれた大学生バカップルにしか見えないが、「ラブホリ」ってこういうことなんでしょうか。
ところでこの番組、2週目でいきなりテコ入れされたようだ。1回目では「彼女」側の受け答えを、「びっくりした」「どういうこと……?」と、いちいちテロップで表示されたり、健人が何か言ったりするたびに、“キュン”“ドキッ”と文字が現れていたが、2回目はまるごとなくなっていた。見てる側のリアクションは、確かに見てる側任せの方がいい。余計な装飾がなくなったことで、素材本来の味が際立つようになったり、歌声のよさがわかるようになったりするようなものか。
この番組を見ていると、「数々の奇行と言動が全てアドリブだったらどうしよう」「健人って本当にこういう人なんだろうか」と不安になってもくるが、「びっくりしましたか、みなさん」「ホームセンターであんなことするって」など、リアルな健人としてのコメントコーナーも挟まれていたので、ちょっとホッとした。ただ、Sexy Zoneの他メンバーや若手ジャニーズで健人に匹敵する人はいなさそうなため、シリーズ化は難しいかもしれない。
次回予告でも、まだホームセンターにいた。水着を「彼女」に選んであげたり、ダンベルを上げたりしてたが、この頭がクラクラするショッピングが続くのか。そしてとどめは、額縁売り場で、
「お前がオレと付き合ってくれたことを記念して、この賞状を授与いたす!」
「授与いたす」!! ……次回もデートをして、授与してもらいたくなってきた。不思議な魔力のある番組だ。
(太田サトル)