『音楽のちから』の青い上着から感じた、嵐・櫻井翔の“中間管理職”感
今回ツッコませていただくのは、『音楽のちから』(7月6日放送、日本テレビ系)関連で見られた嵐・櫻井翔の意外な一面。
『音楽のちから』司会を務めた櫻井翔は、放送前日、日テレのさまざまな番組に番宣のために出演していたのだが、パッと見の印象に何か違和感があった。違和感の理由は、櫻井の着ている青い上着である。
カジュアルジャケットのようなものだが、「着せられている」感がハンパない。日頃、『NEWS ZERO』で着ているダークスーツなどは、整った顔に非常に似合っているのだが、なぜ青い上着がこんなにも似合わないのだろうか。1つは、整った顔がファッションの幅を狭めてしまうということがあるだろう。個性的な顔の方が、オシャレに見えることは多々あるもの。一方、整った顔の場合はフォーマルやトラッドな服は非常に似合うが、ひとたびカジュアルな装いをすると、なんとなく野暮ったい印象になることがある。もちろんキラキラのアイドル衣装も着るし、普段からスーツを着ているわけでもないのだが、ほどほどのカジュアルダウンが合わないのかもしれない。
もう1つには、ジャニーズ事務所内、日テレ内で背負っている彼の「立場」が醸し出すものもあるような気がする。慶應大出身の「インテリアイドル」として、キャスターや司会を務めるなど、堅い仕事を任されることが多い櫻井。
いつの間にか「中間管理職」のような立場になり、貫禄や風格も出てきて、ダークスーツがしっくりくる代わりに、青いジャケットは「借りた作業着」に見えてしまう。この似合わなさは、不思議と政治家が視察などの際に作業着を着てみせるパフォーマンスのような感じにすら見える。
この「中間管理職」感は、『音楽のちから』放送時にも見られた。12時間もの放送を司会として支えてきたにもかかわらず、最後の2時間は関ジャニ∞に乗っ取られたような感じになり、ねぎらいもされず、終了時に締めのコメントをするだけの立場にされていた。また、スペシャル企画のジャニーズコラボでは、『火曜曲!』(TBS系)で見られたようなグループシャッフルを期待する声が多い中、各グループに嵐のメンバーが1人ずつ入るだけという「コレじゃない」感たっぷりの構成となっていた。
そんな中、櫻井は若手グループ・Hey!Say!JUMPとのコラボを果たしたのだが、日頃後輩とあまり絡みがないためか、よそよそしい距離感がなんだか新鮮に見えた。サビの部分でJUMPのセンター・山田涼介と背中を合わせ、もう一方の隣に立つ知念侑李の腕をつかみながら歌う姿勢は、あまりに不慣れで、まるで赤ちゃんや動物を抱き慣れていない人のぎこちない抱っこのように見えるのだ。
国民的アイドルとして大人気の嵐。中でも、今、最も責任ある立場に立たされている櫻井翔には今後ますます重要な仕事が来るだろう。時にはそれが可哀想に見えることもあるだろうが、これも新しい櫻井翔の魅力の1つとして、注目してみるとよいかもしれない。
(田幸和歌子)