カルチャー
『シェアハウス わたしたちが他人と住む理由』著者インタビュー(前編)

オシャレな暮らし方「シェアハウスブーム」に隠された「所属なし」という若者の孤独

2013/07/13 18:00

――シェアハウスをしていて、ここはよかったという点はありますか?

阿部 家賃が安くなる、いいスペックの部屋に住めるというのはもちろんありますが、毎日そこはかとない安心感はあります。そもそもシェアハウスを始めたのは、社会人1年目で一人暮らしをしていて、心細くなってしまったのも理由の1つ。大学生の時は、一人暮らしでも、深夜まで電話でしゃべる相手がいたり、部屋に友達を連れて帰ったりできた。でも、社会人になると、みんな生活リズムが変わって、相談相手もいなくなってしまったんです。シェアハウスを始めてからは、仕事で嫌なことがあって帰宅しても、孤独ではない分、落ち込むことも少なくなりました。

茂原 孤独って、いろんな世代が感じるものですが、シェアハウス人口が増えている20~30代特有の孤独があると思うんです。生まれてからずっと、私たちは「家族」「保育園・幼稚園」「小学校」……そして、「大学」といったコミュニティに属してきました。昔はその後、「会社」というコミュニティがありましたが、今は終身雇用制度が崩壊している時代。実際に晩婚化も進んでいます。大学卒業後の「どこにも属していない」という環境の中で、孤独感を抱える20~30代は多いでしょうね。

――一方で、「上司と飲みに行きたくない」という20代も多いと聞きますが……。

茂原 誘っても飲みに行かないのは、そこに安心感、関係性がないからだと思います。会社の誰とも飲みに行きたくないのではなく、会社っていうのが安心して付き合える場所じゃないということでは。

阿部 会社には属せない、でもどこかに属したい、助け合いたいと求めている人は増えていると思います。そういう背景があって、シェアハウスをする20代が増加しているのかもしれませんね。

(後編につづく)

最終更新:2013/08/02 17:06
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