『Mステ』初出演3日後に、剛力彩芽がiTunes・レコチョクで1位を穫れたワケ
『Mステ』初出演3日後に剛力彩芽がiTunes・レコチョクで1位を穫れたワケ
剛力彩芽、歌手デビュー。俳優やお笑いタレントなど、旬の人がCDを出すことは、昔から珍しくない。今の彼女の活躍ぶりからしたら、“ようやく”といった感すらあるかもしれない。そんな歌手としての剛力彩芽が、デビュー曲『友達より大事な人』を引っ提げて、7月5 日に放送された『ミュージックステーションSP 夏のSUPERLIVE』(テレビ朝日系)に出演した。
「まずはこちらをご覧ください」
竹内由恵アナのフリで、剛力の紹介VTRが流れる。
「9歳で受けた、『全日本国民的美少女コンテスト』をきっかけに、芸能界入り。雑誌モデルとして人気に火がつき、女優業も開始。数々の役柄をこなし、今年は月9で主演を務め、現在のCM・広告本数は17本!」
ナレーションが活躍ぶりを、あらためてあおる。「大活躍の彼女が歌手デビュー!」さらに、「その注目ポイントは、ダンス!」で、「5歳で始めたダンスは、なんと大会で優勝するほどの実力!」だとのこと。ナレーションのボルテージも、いよいよ最高潮に。
「そんな彼女のデビュー曲は、ダンサブルなこのナンバー! 15年のキャリアが築いたパフォーマンスは必見です!」
……なんか、歌う前にものすごくハードルが上がっている気がしてならない。VTRが終わり、
「どうですか、初めてのミュージックステーションは」
とタモリが聞く。
「すごい緊張してるんですけど、がんばります! 楽しみたいと思います!」
と、元気いっぱい、はつらつとステージに向かう。ここでダメ押しとばかりに、ドラマで共演したEXILEのAKIRAが、彼女のダンスについて、「見ててメチャクチャ元気になりますね」と褒め、「本当にすごい腕前を持ってらっしゃるんですよねー」と、竹内アナもダメ押しのダメ押し。こんなに盛り上げて、大丈夫? と余計な心配をしてしまう。もうハードルは下げられない。
さて、画面にアップで映し出された剛力は、突然なぜか「ぷるるるる」って唇を震わせた。なんだこれ。歌う前のウォーミングアップ的なものなのか、言っていた通り、緊張していてそれをほぐす仕草なのか。そして……
「♪ねぇきんみはもぉぅ~とんもだっちじゃなは~い」
……?
「♪ひんみつぅのなみだぁはぁ~」
…………!? 文字でそのニュアンスを伝えきることはできないが、やっぱり超緊張していたのでしょうか。歌声が時々裏返ったり震えたり、高音部分も苦しそう。カラオケの機械みたいに、キーの高さを調節してあげたくなってくる。
この先どうなっちゃうんだろうと、見ている方も緊張してきたところで、サビ直前に突然サウンドが立体的でクリアな感じになり、歌声もパンのCMで聞いていた感じのものになったというか、安定したものになった。元の音源をかぶせるか、何か調整してもらったのだろうか。変な話だが、これでちょっとホッとした。穏やかな気持ちでパフォーマンスを見られるようになり、ウリのダンスにも目が行く。確かに、ターンにもキレがあるような気がして、本当にうまい感じがする。
そんなわけで無事(?)終了した、剛力リサイタル。YouTubeの低評価を本人が気にしたり、事務所が2ちゃんねる閲覧禁止令を出したというキノドク記事が、「週刊文春」(文藝春秋)に掲載されたりもしたが、もしかしたら、これを機に風向きがちょっと変わってくるのかもしれない。
というのも、一生懸命歌う姿が、なんだかけなげに見えて、結局本人は悪い子じゃないんじゃないかとか、そんなイメージが生じるのだ。実際、ちょっと「がんばれ!」と思ってしまった。ハードルを思い切り上げたことで、逆にその反動でグッと低くなったような気もする……というところまで、全て高度に考え抜かれていた戦略だとしたら……?
ともかく、親しみを感じた人は確実に増えたような気がする。と思っていたら、Mステ3日後の7月8日、この曲がiTunesやレコチョクで1位を獲得したというニュースが。……おそるべし、プロジェクト・ゴーリキ。
(太田サトル)