【セレブに学ぶネットスラング】ナズ「homie」(地元の仲間)
■「homie」
(日本語訳)地元の仲間、ダチ
【使用例】
「homie(ホーミー)」は、「homeboy(ホームボーイ)」の進行形であり、ヒップホップ・アーティストの間では、「地元の仲間」「ギャング仲間」「故郷の親友」「ダチ」という意味で使われることが多い。今回、ナズは、「みんな、地元のダチをサポートしようぜ……オレの兄弟@P.ディディのTV局、Revoltをな。革命が放映されるんだぜ!!!!」というツイートで、郷土愛を煽るために「homie」と使っている。ちなみに、「iamdiddy」は、P.ディディのTwitterアカウント名、「Revolt」は、ディディが今年10月に開局するケーブルTVチャンネルのことだ。
「homie」という言葉は、19世紀後半に多くのアフリカン・アメリカンが大都市に移動した際、同郷の仲間を親愛を込めて「ホームボーイ」と呼び始めたのが短くなり、「homie」となったのが始まりだとされている。ベトナム戦争で、兵士たちが同じ出身地の兵士のことを「ホームボーイ」と呼び分けるようになり、その後、「homie」「home」と呼ぶようになったという説や、ラティーノの若者たちがスペイン語の「奴」という意味の「hombre」を変化させ、「homie」と使うようになったという説もある。警察も、逮捕した若者たちを「homeboy」「homie」と呼ぶことが多いが、この場合、地域を荒らすチンピラやギャングという意味。このように、使う人種やバックグラウンドにより、「homie」のニュアンスは微妙に異なるのだ。
ヒップホップ界では、ラッパーと観客・ファンをつなげる大事な言葉として「homie」は使われている。大御所ヒップホップグループ、パブリック・エナミーは「黒人の仲間」を指すことが多く、彼らの曲「Can’t Do Nuttin’ For Ya Man」では、「くっそ盛り上がろうぜ、ホーミー(Rock that shit homey)」と使っている。
ギャングスタ・ラップ黄金時代には、同郷仲間の中でも似た環境の者や同じギャングに属している者を指すことが多く、2Pacの「Lil’ Homies」では、ギャングに入り「かっこよく」イキがるホーミーの姿がリアルに、生き生きと描かれている。一方、P.ディディは、「地元の仲間/ダチ」という意味で親しみを込めて使うことが多く、「It’s All About The Benjamins」では、リル・キムに「アンタたち、ホーミーへの曲だよ(this is for my homies)」とラップさせている。
なお、「ホーミー」と同じ意味で、「ホームズ(homes)」「ホームスライス(homeslice)」と言うこともあり、ラティーノ・ラッパーがよく使う「ESE」も、同じく「ホーミー」という意味。ホーミーと従兄弟、兄弟を合わせた「CUH(Cousin, Homie, Bro)」という言葉もあるので、覚えておくと何かと便利である。