投資&年下男! バブル世代を煽りまくる「婦人公論」の罪
そこにさらなるダメ押しをかけるのが「岡本夏生×林修 貯め込んでどうするの? 使うなら『今でしょ!』」。東進ハイスクールの林先生は、岡本夏生と同じ1965年生まれ。東大法学部から入社した銀行を半年で辞め、投資顧問や経営コンサルに手を出すも失敗。株の仕手戦で大損したりギャンブルにぶっ込んだりしてこさえた借金は1,800万円也。しかし林先生いわく「人が不安になるのは、今日が苦しいときじゃなく明日が暗いとき」ということで、借金は“自信で”乗り切ったそうです。カネを使いまくったり潜伏したり、稀有な経験を通して「今がある」としみじみ語るお2人。「最近の若い子って貯金ばかりしていてあまりお金を使いませんよね」(林)、「あたし言ってやりたい、過ぎ去った時間はお金じゃ買えないよ。タイム・イズ・マネー以上だよ、って」(岡本)というバブル世代の必殺技・ロスジェネ叩きも、持っている方たちが気持ちよく散財してくれると思えばお安いものですよ。そう、老後なんて先の見えない闇に怯えるより、今を楽しく、元気なうちに無駄遣い! 今回はバブル読者のやる気に水を差さぬよう、「読者体験手記 貧乏神は突然に」のご紹介は割愛させていただきましょう。
■20代男性が「金麦妻」を求めるという絶望
続いては「小特集 甘~いドラマと、ビターな現実 ここが気になる! 年の差婚」を見てみましょう。これまたバブル世代を乗せる企画。「井上公造×牛窪恵 芸能人から一般人まで年の差カップル急増の『なぜ』」では古今東西の年の差婚から見えてくる“結婚の極意”を考察しています。マーケティングライターの牛窪恵氏によると、「20代女性に調査したところ、結婚相手は圧倒的に年上がいいという回答が多いのです。『同性代の男の子は、“おごってくれない・話つまらない・気分アガらない”の三重苦。年上男性ならそんなことない』と(笑)」。エエエエ! オジサンがおごってくれるのは「つまらない話を聞かせて気ぃ使わせちゃってメンゴメンゴ」代なのかと思ってましたよ。
需要と供給のバランスからすると、自然と余ってくるのが20代・30代男性。そんな彼らが目をつけたのが、年上のキャリア女性という流れです。なんだか「風が吹けば桶屋が儲かる」方式な気がしなくもありませんが……。とにかく「アラフォー。アラフィフ女性の可能性が広がっていますよ!」と、あの手この手で持ち上げるお2人。しかしおわかりのように年下男性が求めるのは、「経済力があって精神的にも自立した」年上女性。それに加え、いわゆる“美魔女”的な若さと美しさを持った女性に、「愛されるための最強の条件」があるそうです。
さらに牛窪氏から「ご存知ですか? 今、若い男の子が理想とする年上女性は、CMで檀れいさんが演じている“金麦女性”なんです。普段はしっかり者でも、自分の前でだけドジな部分を見せてくれるという」。エエエエ! PART.2な情報が。いいですか? 年下男と結婚したければ、銭稼いでキレイにしていて、なおかつ湯豆腐なのに生姜を買い忘れちゃった自分の頭を自分でコツンとしたり、帽子の中からカエルを自在に出し入れしたりしなければならないのですよ! ハードル高っ! こういう話は結局「しょせん男は『おバカ』な生き物で、妻の手のひらで転がされているだけ。転がされ方がうまい男が、幸せな結婚生活を送れるんじゃないかな」(井上)というところに落ち着くのが常で、そこにはもうツッコむ気力すらございませんが、満を持して感プンプンに「年の差恋愛、いつするの? 今でしょ!」とまとめた井上レポーターには「そういうのは『ミヤネ屋』(日本テレビ系)さんだけでお願いします」とお伝えしたい次第です。
「アベノミクスだ、さあ金使おうぜ」と同じノリで「年下男と結婚するのは今がチャーンス!」とまくし立てる「婦人公論」。しかし、煽るだけ煽りながらサラリと落とし穴も用意しているのが、この雑誌の恐ろしいところです。10歳以上の年の差婚をした女性たちの一言体験談がつづられた「妻たちのホンネ 泣いて笑って ああ、世代間ギャップ」で見つけましたよ、幸せの奈落を。妻たちがノロケを披露する中で、欄外に小さく設けられた「年下夫のつぶやき」。「女性上司と結婚。精神的に大人だと思っていた部分が、最近はワガママに思えたり、甘えてくると『年上のくせに甘えるな』とウンザリします。服の趣味もオバサンだし、若い女性と結婚した友人を見るとうらやましく思える」(32歳/妻43歳)、「周囲の友達より妻の更年期が早く来てしまったことに現実を感じる。症状がひどく、当たられるとこちらもつらい」(44歳/妻53歳)……ほかは何を言われてもいい、ただ更年期のことは言わないであげて! 本人にはどうにもならないことだから!!
(西澤千央)