「マンモスうれピー」で復帰に失敗した酒井法子……芸能界と記者会見の恐ろしさ
女優の酒井法子(42)が、モデルとして出演することが決まっていたシンガポールの大規模ファッションイベント『アジアスタイルコレクション(ASC)』が、22日に開催された。少女時代やローラら多くの芸能人が参加したが、半年前から決まっていた酒井の出演は、今月に入り突如キャンセル。「覚せい剤で逮捕された一連の騒動でイメージが悪い」と、日本サイドのスポンサー数社が難色を示したためであり、酒井側も「主催者側の都合により、急遽出演することができなくなりました。楽しみにしていてくださったファンの皆様には、大変ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません」と、発表している。
『ASC』は、日本最大級のファッションショー「東京ガールズコレクション」や中国、韓国の企業らがタッグを組んで、初開催されたコレクション。中国圏で人気の高い酒井の降板に対して、中国側企業は猛抗議したようだが、結局スポンサーから撤退してしまった。
ここであらためて考えさせられるのが、記者会見の難しさだ。酒井は、執行猶予が切れた昨年11月、舞台復帰も兼ねて記者会見を開いた。海外の記者も含め、約200社の記者やカメラマンが集まり、その関心の高さが感じられた。「またみんなの前で舞台に立つことが、ただただうれしい。怖さもありますが、でもその緊張を集中力とパワーに変えて、いいお芝居にしたい」と、笑顔を見せた酒井。「覚せい剤に手を出すなんて自分自身がバカだった」「長くつらい日々ではありましたが、本当にいろいろな方から支えていただき感謝しています」「息子がずっと自分と一緒にいてくれることに感謝しているが、自分が彼を守らなくてはいけないと思っている。二度と息子を傷つけないようにと思っています」と、涙を見せたシーンもあった。
ただ、今の心境を「マンモスうれピー」と言わされてしまったのは、失言だった。本来ならば、この記者会見こそが“禊”だったはず。警察から逃げていた時の恐怖、覚せい剤を使用した時の快楽、留置場での寂しさなど、経験者しかわからない心境を伝えることが必要だったと思う。質問する記者側にも、会見を「覚せい剤に手を染めた酒井をいたわる場所」にした責任がある。酒井に優しく、答えやすい質問が続いたことから、彼女自身も冗舌になりすぎてしまったのだ。
あの会見は、激しい追及に遭い、ボロボロになって答えられない酒井の姿を見せるべきだったと思う。世間の人に「そこまで追い詰めることないじゃない」と思わせる会見だったならば、今の酒井には、もっともっと仕事が舞い込んでいたのではないだろうか。
しかし、芸能界とは怖いところである。かつて、不倫が発覚した際、泣いて詫びたタレントと「俺も男」と開き直ったタレントがいた。今、仕事を続けているのは、開き直ったタレントの方だ。記者会見は本当に難しい。答え1つで、芸能界での立場が変わってしまうのだから。
石川敏男(いしかわ・としお)
昭和21年11月10日生まれ。東京都出身。『ザ・ワイド』(日本テレビ系)の芸能デスク兼芸能リポーターとして活躍、現在は読売テレビ『す・またん』に出演中。 松竹宣伝部、『女性セブン』(小学館)『週刊女性』(主婦と生活社)の芸能記者から芸能レポーターへと転身。