カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「VERY」7月号

「妻だけED」夫に対し、妻も浮気告白! 「VERY」の幸せな主婦像が崩壊へ

2013/06/25 22:00
「VERY」2013年7月号/光文社

 今月の「VERY」(光文社)は、スタイリストの辻直子さんを迎えて「無理しなくても女らしいオシャレ、できちゃった!」という大特集でスタートします。タイトルだけ見てみると、「VERY」は「母として!」とか「独身女性とは違う」などと、完全に既婚女性向けの思想を貫いているように見えますが、辻直子さんはというと、既婚、未婚に限らず、堅実なファッションを教えてくれる存在です。

 もともと、「VERY」はアラサー向けだったと記憶しているのですが、長年出版しているうちに、その読者層もちょっとずつ年齢が上がっている気がします。現在のアラフォー向けファッション雑誌はというと、キャリア志向すぎたりと、なかなかカジュアルに特化したものがないのも、その一因かなと。しかし、「VERY」の紹介するファッションは独身層にもかなり使える上に、後半の読み物特集は「婦人公論」(中央公論新社)もびっくりなくらいの生々しい女の人生が詰まっている……。母、既婚と自らをセグメントしていますが、未婚の女性が読んでも面白い雑誌なんじゃないかとも思えてくるんですよね。

<トピック>
◎無理しなくても女らしいオシャレ、できちゃった!
◎私たちが専業主婦になるまで。なってから
◎私たちとセックスレス

■専業主婦の無理やりポジティブ発言に違和感

 ママ友の実情を描いた小説『ハピネス』(桐野夏生)を連載したり、西原理恵子×桐野夏生の対談で「VERY」の価値観を真っ向から否定させたりなど、毎号、何らかの社会的な問題を考えさせてくれる 「VERY」ですが、今月も面白いですよ。中でも「私たちが専業主婦になるまで。なってから」というインタビュー集は、考えさせられるものがありました。

 この特集は、淡々と匿名の専業主婦のインタビューを書き起こし、それに対して良いも悪いも決めつけないという作りになっています。匿名インタビュー特有の、「ちょっとしたところに出る本音」が見ものでした。

 例えば、子どもの手が離れてきた主婦の方は、頑張りすぎず手抜きもしているけれど、「時々、『私、何やってるんだろう。このままでいいのかな』と沈んだ気持ちになる」「夫の家事、教育の協力が得られない中で私が働くことには大きな価値は見いだせない」と語り、また以前は教師をしていた人は、月に1~2回買い物にでかけることが楽しみではあるけれど、それをすることで「ああ、私は社会とのつながりに飢えているんだなと思うことも」とつづります。またある人は、「女性って、同じ立場や環境の人とは理解しやすく仲良くなりやすいけど、違いを感じるとなぜか無意識のうちに相手に敵意を抱いてしまうことも。これは女性特有のものですかね」という鋭い指摘を繰り広げます。

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