「オシャレって何なの芸人」で光った、ジャルジャル・後藤の保守的オシャレ観
今回ツッコませていただくのは、6月13日放送分『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「オシャレって何なの芸人」。
今回は、「番組スタッフが企画して、番組スタッフが呼び出した」というもので、出演者は麒麟の川島明、有吉弘行、オードリーの若林正恭、博多華丸・大吉の大吉、笑い飯の西田幸治、ジャルジャルの後藤淳平、ハマカーンの浜谷健司。パッと見、別にダサいイメージもない顔ぶれである。むしろどちらかというと、こぎれいなイメージの芸人もいるだけに、「なんでこのメンバー?」と不思議に思うが、「オシャレに保守的な芸人を集めた」ということらしい。
そんな「保守的な芸人」たちが、「オシャレ代表」益若つばさとオリエンタルラジオの藤森慎吾に対して、次々に投げかけたのが、「意味がわからない」言葉の数々だ。「着崩すって何?」「あえてのハズシって何?」「差し色って?」等々の疑問に加え、こんなツッコミが添えられる。
「着こなすってどういうこと? バイクや馬を乗りこなすのはわかる。意図しないものをコントロールしないといけない。でも、服、別に暴れないじゃないですか。意図しないものを着こなしてるの、ど根性ガエルのひろしぐらい」(川島)
「服に着られるってどういうこと? 我々のカネで購入して着ているものを。服に着られるわけがない」(大吉)
また、「ファッション誌を読んで参考にしないのか」という質問に対する大吉の答えは、「モデルと僕が生きてきた人生が違う」。
さらに、若林はこんなこだわりを語る。
「なんでするのかわかんないのがあって。革のベルトみたいの、腕に巻いてるじゃないですか。時計だったら時間見るし、リストバンドなら汗拭くじゃないですか。僕にとっては(ただの革のベルトは)ガムテープ巻いてるのと同じような気がしちゃうんですよ。要らないのにつけてるってことは、『オシャレに見せたい』ってことになるじゃないですか。僕はそれがダサいと思うんですよ。必死感。僕は藤森くんのこと、ずっとそう思ってて」
さらに、「オシャレに挑戦」企画で、短パン+ジャケット+ピンクのカーディガン肩がけ+赤のニット帽で登場した大吉が、テレつつも、こんな自虐的なコメントをしていた。
「この重ね方、テトリスなら完全にゲームオーバーですよ」
「本当に恥ずかしい(足を出すのが)。靴もあえての(左右)違う、40歳過ぎて半ズボンでこれ、大変なおっちょこちょいですよ」
何なんだろう、このエッジのきいたコメントの数々は。思えば川島、若林、有吉、大吉あたりって、笑いにおいて「あえてのハズシ」も「差し色」も「着崩し」も自在にできる人ばかりだ。むしろ今回の裏テーマは「コメントオシャレ芸人」か「笑いのセンスオシャレ芸人」か。
そんな中、結構ガチな感じに見えたのが、ジャルジャルの後藤だった。「足元を軽くする」という趣旨で、益若と藤森のアドバイスを受けつつ、デニムをロールアップして靴下をぬぎ、赤いデッキシューズをはいたのだが……。
言われるままにやることが、ことごとく「オシャレ」になり、「あえてのハズシ」として有吉に赤のニット帽をかぶされても、やっぱりオシャレになってしまい、「アドバイスした俺がドン小西みたいになっちゃったじゃねえか」と有吉が苦笑する展開になっていた。しかも、当の本人・後藤はそんなやりとりをスルーして、流れ作業のように、デニムのロールアップを元に戻し、きっちり靴下を穿きなおしていたのだ。
おそらく裾をロールアップするとか、靴下を穿かないとか、本当に気持ち悪いのだろう。多数の「コメントオシャレ芸人」のなか、きっちりしていないといられない、ホンモノの「おしゃれに保守的芸人」を1人だけ見つけた気がした。
(田幸和歌子)