囚人は見た! 「ホリエモンもっとポッチャリしとったで~、激ヤセちゃうちゃう」
激ヤセした容姿でニコニコ生放送の仮釈放会見に臨み、長野刑務所での過酷体験を赤裸々に語ったホリエモン。その晴れ晴れしい表情を見ると、まるで人格からも「悪玉コレステロール」が消えたようで、かつてのふてぶてしさは微塵も感じられない。
スリム体型というものが人に好印象を与える「お手本」として、さっそうとシャバへの復帰を世間にアピールしたわけだが……希代のエンターテイナーだけに、何かが引っ掛かる。
筆者は、懲役囚・堀江貴文と同期囚だったN青年と接触。「過酷で凄惨」とまで言われる、そのムショ生活とは、いったいどんなものだったのか。ホリエモン本人の言葉からは語られてはいない「ながのなう」のありのままを聞いてみよう。
「僕が入所した時は、ホリエモンはすでに先輩懲役として『衛生班』にいました。ここは病舎という刑務所内の病院のようなところで、医師や看護刑務官の雑役などの作業に従事するんですが、ホリエモンは『介護係』といって、お爺ちゃん懲役の車椅子を押したり、障害のある方の介助をしたり、病室の汚れたシーツなんかを運んでる姿を見かけましたね」
そう語るのはN青年(35)。ホリエモンとほぼ同時期に仮釈放されていることから、1年以上はホリエモンと「同じ釜のメシ」を食った関係ということになる。
「同じ釜のメシといっても、僕は生産系のミシン工場で、あっちは所内でも数人しかいないエリート中のエリートしか従事できない経理系の『衛生工場』ですから、同じ懲役でも刑務官から受ける扱いには雲泥の差がありますけどね」
ホリエモンの会見コメントによれば、「(刑務作業は)文字通り汗水流して怒鳴られながら働かなければいけない過酷な現場だった」とのことだが、所内で選りすぐりのエリートであれば、服役生活にも何か特典があったのではないか?
「彼らみたいな所内の運営に関わる経理工場系の『衛生班』にいる懲役は、仮釈放もたくさん貰えるし、ある意味ではすごく高待遇です。刑期の1/4くらいを残して仮釈放されたらしいですが、3ピン(1/3)とか4ピン(1/4)は普通の懲役じゃなかなか無理な話ですよ」
仮釈放のほかに特典はあるのだろうか?
「彼らは『炊場(所内の給食工場)』なんかともつながりがあるから、オカズだって『ヅケ盛り(多い量)』で運ばれてくる。だから『同じ釜のメシ』なんていっても、彼らは僕らの倍くらいの量のご飯を食べていることになるんじゃないですかね(笑)」
食うことだけが楽しみと言われるほど、刑務所の生活は素っ気ないものだという。そんな暮らしの中で、メシの量が多いとなれば、なぜホリエモンはあそこまでダイエットできたのだろう……?
「いや、僕がムショの中で見かけたホリエモンは、あそこまで激ヤセしていなかったですよ。どっちかといったらもっと、ぽっちゃりふっくらとした印象でしたね。ムショのエサでシャバ生活よりも太っちゃって、出所前にダイエットする懲役ってけっこう多いんですよ。それに、特別食(祝祭日などに配られるお菓子など)なんかも、シャバが近いヤツは、長い刑の人たちに食べてもらう『暗黙の儀礼』みたいなのがムショにはあるんです。いくら介護作業が肉体労働といったところで、『炊飯』とか『金属工場』なんかと比べたらまだまだラクな方ですし、寝たきり爺さん懲役のシモの世話だって、慣れたら大したことでもないでしょう。しょせん『住めば都』ですから(笑)」
ならば、あの「激ヤセ」はメディア向けの演出ダイエット、ということか――?
「そうなんでしょうね、きっと(笑)。つらいだの怒鳴られただのと甘ったれたこと言ってますが、懲役は『怒られるのが仕事』ですよ。それに、刑務所の本当の過酷さを体験しているのは、長期にわたる昼夜間独居の生活を余儀なくされている受刑者たちだと思います。長野刑務所は今、L・A級(犯罪傾向の進んでいない長期の受刑者)の人が多くなっていて、周りには20年以上の有期刑とか無期懲役なんかの人がいくらでもいる。気の遠くなるような刑期を務めているうちに、拘禁病などの精神障害を負ってしまい、昼夜間独居の厳正処遇となる。そうなれば狂っていく一方だし、イヤですね、独居内で『狂死』なんてことになったら……」
そんな受刑者たちを目の当たりに介護作業に従事しながら、「保護観察なう。」と呟いて仮釈放記者会見に臨んだホリエモン。この先「リバウンドなう」にならないことを願うばかりである。
(ヒロチカ)