NHK『きょうの料理』を散らかしまくった、平野レミのクッキングスタイルを検証
――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!
◎コントよりコントだった料理番組
久々にテレビを見て心が躍った。それは平野レミが出ていた『きょうの料理』(NHK Eテレ)。今さら平野レミってのもアレなんだけど。しかし、出てたのがEテレだけあって、何かこう、剥き身であらためて晒された感じ大だった。
まず、登場からしてスゴいのである。あの「タンタカタカタカ、タンタンタン♪」ってオープニングテーマ曲に、自分で歌詞つけて歌い踊りながら登場。「シトシト小雨が降ってても~、おいしいお料理作りましょ~♪」って、最後ビシッとキメポーズしてた。しかし、NHKなのでスタッフの笑い声ひとつナシ。この空気感、嵐の予感。
案の定、料理を始めれば、すべての手順が、ガシャッ、グジュッ、バーン! ガサツで手荒で、放り投げるように食材を扱うので、調理台が散らかる散らかる。エプロンで手こするこする。ダミ声で滑舌が悪くどもりがちという、テレビに不向きな大声で、「アレをね~」「コレをさ~」「こうしてさ~」としか言わず、名称も手順も何もかもが五里霧中。それを補おうとするアシスタントのアナウンサーの喋りにいちいちカブせて、しかも全然違う話を始める。「先生、ずいぶん大胆な作り方ですね……」と言うアナウンサーに「そぉ、わかるぅ? あたしねー、さっぱりしてるって言われるんだけどさー、ねっちょりしてんのー」……無理問答か。
「シソ、うちの庭に生えてる。もうボーボー」
「うちの子どもがさぁ、子どもったって、もうジジイだけどさぁ」
「(電子レンジのモノマネをし)チーン!!」
「(五香粉というスパイスを使うシーンで)入れすぎるとさー、中国真っ盛り! って感じになってさー」
「(みじん切りしながら)憎らしい人のこと考えながら、カタカタカタカターッって、楽しーッ!!」
……実写版・キャシー塚本か。
最後、お焼きの作り方を見せた後で「これが焼き上がったものですね」とアナウンサーに隣のフライパンを示されると「あッ、ホントだー!」と驚いてた。料理番組としてごく普通の段どりなのだが、それもよく理解できてないようなのである。さらに、アナウンサーに焼き具合を調べるよう促されると、持ってた菜箸をど真ん中にブスッと刺した。もちろんお焼きにはどでかい穴が。直後に「あーッ、こんなのあった! 用意されてる竹串ィ。すいませんでしたねぇー」と平野レミが言うと、堪えきれなかったのだろうか、幽かにスタッフの笑い声が聞こえてきた。NHK、それもEテレで、スタッフ笑いが聞こえたのって史上初だと思う。
もしかしたら、料理好きのお母さんが定期録画してるかもしれない。YouTubeでもアーカイブでも何でもいい、とにかく一度探して見てみてほしい。平野レミの『きょうの料理』。DVDになったら、売れると思う。
◎ピンと来た本田圭佑の目つき
W杯出場決定を受けての会見での本田圭佑。ワイワイ浮かれ気分で集まったみんなの楽しいムードの壊し方、先輩後輩一切関係ない、容赦ないダメ出しの方法、「子どもは社会からの預かりものと思ってるんで」等の発言に漂うメンタリティ……。本田って、小藪千豊にそっくりだよな。不満そうに下から睨む時の、三白眼の白目のバランスとか、ずっと黙ってて一度口火を切るとネチネチ長いところもおんなじ。これからも、日本サッカー界の「アイアム座長」として、代表を引っ張って行ってくれ。煙たがられてんだろうけど。
◎熊切あさ美に既視感
頑張ってるなぁ、熊切あさ美。お料理教室にも通ってるんだって。頑張ってるんだけどねぇ。なんか全てが結実しなそうで、さらに本人だけがそこに気付いていなさそうで、もう痛々しいったらありゃしない。この痛々しさ、思い出すなぁ、相原勇を。相原勇て。でもどんぴしゃ。
今井舞(いまい・まい)
週刊誌などを中心に活躍するライター。皮肉たっぷりの芸能人・テレビ批評が人気を集めている。著書に『女性タレント・ミシュラン』(情報センター出版局)など。