『しゃべくり007』の佐藤健、恋愛ネタトークが無防備すぎて生々しい
今回ツッコませていただくのは、5月27日放送分『しゃべくり007』(日本テレビ系)の「1人の美女と14人の男SP!」。
第一部では、向井理、斎藤工、金子ノブアキ、小出恵介という「イケメン俳優4人組」が登場。観客の女性たちの黄色い声に盛大に迎えられ、「夜遊びをギリギリ報告」とうたって、モテエピソードや「プライベートでのこだわりのモノ」「恋愛観」「口説き方」などが語られたのだが……。
「1人で1時間もつ人たち」「なにしゃべったら良いかわからない」などと芸人たちが持ち上げまくり、女性はキャーキャー言うだけという内容ばかりが、しばし続く。4人のつながりは、「3人が同い年」「2人は地元が一緒」程度で、実際、配信ドラマの宣伝で集められただけのメンバーのため、話が広がることも深まることもなく、MC・くりぃむしちゅーの上田晋也とのほぼ1問1答式で進んでいく。
そこにはぶっちゃけもなければ、自虐も、笑いもない。俳優という仕事のイメージを抜きにしても、おそらく素顔もプライドが高かったり、警戒心が強かったり、気難しかったりする4人に、なぜ「モテ話」なんてテーマを振ったのか。このガードの固さ、プライドの高さ、サービス精神の希薄さを見ていると、「本当にモテるの?」という疑問すら湧いてしまいそうだ。
唯一、天然で無防備な斎藤工だけがイジられ、オチになり、かろうじてバラエティの体をなしているように見えた。それに対して、「テレビなのに大丈夫?」と視聴者側が不安になるほど生々しい空気が漂っていたのが、第二部で綾瀬はるかと一緒に登場した佐藤健。
女性アイドルとのスキャンダルをはじめ、「共演者キラー」と言われる過去のさまざまな熱愛報道などで、すっかり女慣れしているイメージになっているだけに、普通ならもう少し警戒しそうなものを、とにかく異様なほど綾瀬はるかとの距離が近いのだ。相手は年齢もキャリアも上で、しかもテレビの仕事中だというのに、馴れ馴れしく見えてしまう。
「ケンカをきっかけに仲良くなった」(佐藤)と言い、「これは言っていいの?」(綾瀬)「その話じゃないヤツ」(佐藤)などと2人で話したり、「寂しさを感じる瞬間は?」という問いに対して「常に」(佐藤)と答えたり、こんな発言もあった。
「ウケますよ! 俺らが付き合ったら、もし……まあ、ないですね(綾瀬の顔を覗き込み)……ありますね」
さらに、「どっちかっていうと、向こうが駆け引きしてるみたいなのが見えた瞬間に、嫌になっちゃう」とか「こっちからいくとか、そういうこと考えなくても、自然とうまくいくもんなんじゃないかと」なんてことを語る佐藤健。また、映画の宣伝のフリップを2人で持つのも、なんだか不思議な光景に見えた。
この2人の仲が実際のところどうなのかは知らないが、なにより驚くのは、こうした生々しい空気をテレビで出してしまうことを、どちらの事務所も容認していること。それすらも映画の宣伝のため、計算上のことなのかもしれないが、対照的な「恋」バナの1部と2部に、見ている側がなんだか妙なもやもやを感じてしまう番組だった。
(田幸和歌子)