自称「おっさん」の水野美紀に見る、男も女も油断させる巧妙なハニートラップ
「甘えん坊」「マネージャーが男」「たいしたことのない話で、はしゃいでいる」「男を表現する言葉で、自分を形容する」。このキャラクター、どこかで聞き覚えがないだろうか。そう、かつて取り上げた、女優・鈴木砂羽である。違うことと言えば、鈴木は甘えん坊の自覚があるが(鈴木は自らを「甘え戦士」と名付けている)水野にはないこと、そして鈴木の定冠詞が「男前」で、水野が「おっさん」なことくらいである。
それでは、「男前」と「おっさん」の違いは何だろうか?
鈴木は著作で、寝坊してヘリをチャーターしたことや、知らない人と朝まで飲み明かしたなど、派手なストーリーを演じて「男前」の称号を手にした。しかし、水野はノーエピソードである。この現象を「狩り」の場面に例えてみよう。鈴木の「男前」話が多少話を盛っているにせよ、体を張った結果の「獲物」なのに対し、水野の根拠のない「おっさん」流布は、相手に「え、そうなの?」という意外性を引き出させて拍子抜けさせるという意味で、狩りの前にしかける「罠」である。「おっさん宣言」により、男性は「もしかしたら自分とも飲んでくれるんじゃないか?」とポジティブな勘違いをし、女性は「気取っていなくてつきあいやすい人」と思いこんでしまうのだ。
「ハニートラップ」という言葉がある。女スパイが対象者と性的関係を結んで機密を盗むことをいうが、男が女をスパイだと思わないからこそ、成立する手法である。水野の「おっさん」戦法は、肉体関係を伴わないにしろ、相手を油断させるという意味でハニトラと同じである。水野が「おっさん」を連呼するのは、水野が自分を、おっさんと真逆の存在であることを自任しているからであることは、言うまでもない。
水野のような「人を油断させる人」が周囲にいた場合を想像すると、そら恐ろしくなる。一体どんなことが起こりうるのか、筆者はその答えを、松任谷由実作詞作曲の大ヒットナンバー「まちぶせ」の歌詞に見出した。ご存知ない方のために解説すると、この歌の主人公はある男性に恋をしているが、その人には彼女がいる。このような場合、それでも告白するか、あきらめるかという展開になりがちだが、主人公はそのどちらも選択しない。
気のあるような態度はとらず、男とその彼女を油断させる。いざ彼女と別れたと聞いても、すぐに告白したりせずに、別の人からもらったラブレターを見せて、自分の女性としての価値がいかに高いものかをアピールする。その目的は、もちろん意中の相手を振り向かせるため、である。
水野女子が周囲にいた場合、このように、油断をさせられ、いつのまにか男を取られるということが起きる可能性は大アリだ。根拠のない「おっさん」宣言は、あなたへの宣戦布告と考え、カブトの緒をひきしめてかかることをお勧めする。
(仁科友里)