宍戸錠、「見舞金で1年は食える」! 自宅全焼のネタ化に成功
宍戸錠といえば、今年2月、世田谷区の自宅が全焼したことが大きなニュースになっていた。その宍戸が、5月19日放送のトークバラエティ『誰だって波瀾爆笑』(日本テレビ系)に出演した。
『波瀾爆笑』といえば、俳優やタレントの自宅VTRをよく流している印象があるのだが、今回はそういった部分をどう処理するのだろうか。余計な心配をしながら見始めると、番組のメインMC・堀尾正明から紹介された宍戸が、大きく手を振りながら、にこやかに登場した。
火災直後に焼け跡でインタビューに答える姿は、見た事もないようなしょんぼり具合だったので、この日もどんな感じで登場するのかちょっと心配だったのだが、とても元気そう。軽やかに手を振りながら、「イヤーー」なんて言っちゃってるし。元気だったどころか、愛称の「エースのジョー」とひっかけて、
「今、違うの。火事になってから、“S・O・Sのジョー”」
なんてダジャレまで飛ばす。出演者たちもみんな、手を叩いて笑っているが、火事についてはもう笑い話でいいのか。そんな感じのオープニングで番組は始まり、VTRで生い立ちを振り返っていく。資産家の息子として生まれ、「広大な庭には池や滝、さらには竹林から茶室まであった」(ナレーション)という敷地1,500坪の大豪邸に暮らしていたという。しかし……
「そんな生活も、ある出来事によって崩壊する……」(ナレーション)
東京大空襲により、この豪邸が全焼した。70年近く前にも自宅が全焼していたのだ。その後、日活の大スターになっていき「東京世田谷の一等地に3階建ての豪邸を建設」(ナレーション)として映し出された建物こそ、2月に全焼した豪邸。自宅VTRは結果的にこんな形で流れたわけだ。
「天気の悪い時には、(吹き抜け状になった屋内に)洗濯物をズラーッと干しまして、イタリアの長屋風にすると」
当時の映像で、まだ新しい豪邸をこう紹介する若き日の宍戸錠のうれしそうな笑顔にちょっと切なくなる。そして、スタジオで火事当日のことを振り返ったのだが、
「おかしいのはね。燃えるでしょ。脳の中も燃えてるね」
「3分の1ぐらい燃えちゃってるね」
??? 笑い話にしてくれるのはいいけれど、脳の中が3分の1ぐらい燃えている状態というのは、どういう状態なのだろうか。これは経験しないとわからないものなのかもしれない。
そして、焼けた自宅をどうするのかという流れから、トークがだんだんいやらしい方向に進んでいく。
「(土地を)買いません?」
と、堀尾に持ちかける宍戸。敷地は152坪だという。これを聞き、
「あそこらへんだったら、一坪200~250ぐらいでしょ……3億ぐらいか」
チーン、チーンと勘定をする堀尾。それを聞いた宍戸が言う。
「3億だったら、1億ぐらいまけてやるよ」
ジョー、太っ腹! そんなジョーの元には、日活のかつての仲間から激励が続々と舞い込んだという。ちょっといい話になりかけたところへ、
「見舞金がすごいの!」
と、やっぱりチーンジャラジャラという話になってしまった。
「1年ぐらい食えるかな……」
宍戸錠クラスのスターが1年ぐらい食べられる見舞金って、1人いくらで何人分ぐらい見舞ってもらったのだろうとか、見ているこっちも、やっぱりいやらしい勘定をしてしまう。番組後半、自宅近くの商店街を歩くロケVTRが流れた。商店街のなじみの店を気さくにたずね歩くジョー、これまで100個ぐらい作ったという、いきつけの眼鏡屋さんへ。愛用の眼鏡もみんな燃えてしまったのだが、すぐにこの眼鏡屋さん、ジョーに眼鏡を2つプレゼントしてくれたという。なんとも粋なエピソードだが、これまでジョーが酔ってなくしたり壊したりということはあったけれど、
「まさか燃やすとは……」
と、コメントした店長も粋でナイス。土地も見舞金も眼鏡も含め、火事はもう完全にジョーの「持ちネタ」化していたのだった。
(太田サトル)