[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」5月22日号

「婦人公論」で野田聖子議員が主張する「中絶禁止の社会」は、“弱い女性”を守れるか

2013/05/20 21:00

 みなさまにはご一読いただき、それぞれの解釈で「若い女性の保守化」について考えていただきたい難しいテーマ。そもそも「若い女性の保守化」というのがまだイメージレベルの話ではないのか、という印象も正直拭いきれません。確かに「専業主婦になりたい若い女性が増えている」という話は昨今よく耳にしますが、それが若い女性の保守化を裏付ける現実的な事象となり得るのか。座談会の冒頭でも議論されているように、何が「保守」で何が「右翼」なのか、その定義がイマイチはっきりしないままイメージ語りをしてしまうことが多いのが現実です。

 若者層の保守化について、その論拠とした「ジモト主義とナショナリズム」に関する部分を見てみましょう。

「未来を喪失したなかで、今の自分を承認してほしいという欲求が、新しい『ジモト主義』を生んでいる」(中島)
「ジモト主義とナショナリズムは通じる部分がありますね。(中略)東京とか外の世界に憧れを持つのではなく、地元を愛し、地元に根付いて自分は生きていくと決めている」(北原)
「自分にはここしかない、って予防線を張っているのだろうか」(赤坂)

 さらにそういうジモト主義の中で生きていく女については、

「女はどうなのかというと、そういう尖った男(ジモト主義的ナショナリスト)の補完物になって、思想的に影響を受けているように見えます。そんな男を愛することで自己を保っている」(北原)
「ちょっとDVっぽい……」(赤坂)
「女の人はあきらめている。地方の女の子のリアルって、そんな男を愛さないと生きていけないということなんです。EXILE的なヤンキーが好きで、自分では何も壊さないけど、『クールな男を補強する私』の物語を生きていく」(北原)


 30代後半の筆者は「若者は地元から出ていくのが当然、東京に憧れるのが当然、という意識」がまだまだ色濃い世代です。3人の論者(30代後半~40代)とも近い世代感覚だと思います。いわゆる“東京ナショナリズム”に支配されていて、それを持たない若い世代が奇異に見える、「保守化」しているように見えてしまう。でももしかしたら、若い世代はもう東京自体に憧れを抱いていないのかもしれません。そこに大きな溝があるように思います。果たしてそれが「保守化」なのかはわかりませんが……。

「婦人公論」