谷村新司が「上品なおばあちゃん」化! 理由はAV集めからの「卒業」?
今回ツッコませていただくのは、再結成したアリスが登場した『さんまのまんま』(フジテレビ系、4月20日放送分)。
アリスといえば、谷村新司、堀内孝雄、矢沢透の3人からなるフォークグループ。「チャンピオン」などの代表曲で知られるように、とにかく男臭いイメージがある。ところが、冒頭、『さんまのまんま』の部屋を訪ねてきて、チャイムを押す3人の姿には、「男臭さ」はまったくなかった。
むしろ、のどかで、おおらかで、「陽だまりのおばあちゃん3人衆」のようでもある。
「えらいトシ取りグループですよねー」
さんまにそう言われると、谷村は「やかましいわ!」と言いつつ、こんな説明をした。
「3人トシ足して、191ですよ」
数字だけ聞くと、一瞬スゴそうに思えるが、一人ひとりは64歳(谷村、矢沢)と63歳(堀内)というから、フォークグループとしては「トシ取り」であっても、人間として、男性としては、それほど「トシ取り」じゃない。
世間的には60代だと、まだまだギラギラしたオヤジもたくさんいる気がするのに、アリスに漂う「年齢のわりに達観している、仙人っぽさ」ってなんなのだろう。
終始ニコニコしている矢沢は、「優しい、おっとりおばあちゃん」のようで、「末っ子」キャラの堀内は、「おしゃべりで、まだまだ血気盛んなおばあちゃん」みたいだ。でも、全体の「おばあちゃん」感を強めているのは、なんといっても真ん中に座る谷村新司だろう。
黒いニットにキレイめのブルーのマフラー+細身のジーンズ姿で、静かな笑みをたたえている谷村は、「上品で知的で金持ちそうなおばあちゃん」にしか見えない。ヒゲなのに。自分の中では、谷村といえば「育ちが良く、頭もキレる、ド変態オヤジ」の印象だったのに、なにこの変化………?
番組を見ながらその点ばかりが気になっていたのだが、後半で不意に、「謎」が解けた。
最近は、ゴルフも全然していない、とにかく歩くのが大好きと話す谷村に、さんまがこんな質問をぶつける。
「エッチなビデオ、もう見ない? 卒業?」
すると、谷村はあっさり言い放つ。
「もうだいぶ前に卒業してる」
「個性死んじゃうよ~~っ! もったいないっ! “AVを集める男”として、我々は認識してるんだから」と嘆き、悶絶するさんまに対し、さらにあっさりと「捨てたね。あとは全部みんなにあげて」と言う谷村。
かつてはAVや写真集の専用部屋があったほどだというのに、本人いわく、「そう、今はもう卒業生」なんだそうだ。
「ド変態オヤジ」が「上品なおばあちゃん」に変身してしまった理由って、やっぱり「エロ」成分がなくなったせいだったのか。知ってみると、妙に納得だ。「今はもう音楽が趣味」「こうやってみんなでやれることが」と語る谷村は、満ち足りているように見えるが、なんだか寂しい。
なにもかも卒業してしまって、大丈夫なんだろうか? どこか悪かったり、元気がなかったりしないのか? と不安に思ったが……。
番組最後に歌い上げた「チャンピオン」は、相変わらず男臭く、かっこよかった。ああ、良かった……。正直、ものすごくホッとした。
(田幸和歌子)