カルチャー
イベント「有末剛緊縛夜話 第一夜 縄の儀式」レポート

緊縛師・有末剛の縛りに感じた「強く抱きしめられたい」女のSM願望

2013/05/01 16:00
怪しく美しい「有末剛緊縛夜話 第一夜 縄の儀式」の一幕(撮影:後藤一平)

 先日、東京・ザムザ阿佐谷にて行われた「有末剛緊縛夜話 第一夜 縄の儀式」に緊縛(きんばく)を初体験しに行って来た。某ビジュアル系エアーバンドではない。緊縛である。一部のフェティッシュマニアのためだった時代は終わり、性格を表す一般用語として定着して久しいSM。そしてSMの中でもとりわけ官能的で芸術的なプレイ、それが緊縛なのだ。

 今回のイベントの主役・有末剛さんは、1970年代後半のSM雑誌黄金期に緊縛師デビューをし、アート性の高い独自の緊縛スタイルを生み出してきたベテラン緊縛師。最近では、杉本彩=エロスを決定づけた映画『花と蛇』で調教師・鬼源役として出演されている。

 超満員の会場には、古くから有末さんの縄さばきを見つめてきたと思しき60~70代の男性をはじめ、今にも「私も縛って!」と言わんばかりの20~30代の若いムンムンな女性たちも多く、その年齢層の広さはさながら結婚披露宴のよう。知られざる緊縛の需要の高さに驚いた。

 ショーは、災いが住むと非難されている村に潜む鬼と、平定のために献上することになった村で1番の美しい娘を、神主に扮した有末さんが縛っていく、という演劇仕立て。序盤は朗読や舞が披露され、すぐには有末さんは登場しない。蝋燭の灯りだけが差す薄暗い空間に、天井からブランコのような木の柱がぶらさがっており、有末さんの登場を待つ来場客の息を飲む緊張感と雰囲気だけで、もうたまらなくエロい。「早く緊縛が見たい!」と思わせる、この集団焦らされプレイも、もしかしたら官能度を高める憎い構成になってるのかもしれない。

 しばらくして、いよいよ有末さんが登場。サングラスをかけ表情がまったくわからないが、淡々と鬼、娘を縛っていく姿はまさに職人。デキる男。ダンディズム。胸元を縄できゅっと縛った時、胸のライン・形が露になる時の肉感は、同性である筆者も「エロいな~」と鼻息が荒くなる。そして、テキパキと上半身から身動きが取れないように縛っていき、最終的にテコの原理でひゅいっと引っ張ると、太ももに括られた縄で女性の足が持ち上げられ一気に宙ぶらりんになる。あまりにも見事に女性の体がぶら~んとなるので、思わず「おお!」と声が漏れてしまった。

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