コラム
[連載]悪女の履歴書
真面目さの奥に芽生えた“目的”に生きた、「東アジア反日武装戦線」の女たち
2013/05/06 17:00
3人が3人とも成績優秀で真面目、礼儀正しく、そして学生時代に学生運動に関わったがことなど多くの共通項がある。だが学生運動に関わったとはいえ、卒業後はあや子、由紀子共に安定した職業を得た。当時は、企業への就職が困難だった時代で、運動に深く関わった過激派学生の中には女子学生も多くいた。あや子たちが関わることも、周囲からはことさら目立ったものではなかったことが伺える。
事件後、多くの人間が「まさかあの娘さんが」といった証言をしていることも興味深い。だがこれには一応の理由がある。東アジア反日武装戦線は「ごく一般市民生活に徹する」ことがゲリラ兵士としては必要で、髪型や服装に至るまで記された指南書ともいうべき“教科書”が存在したからだ。彼女たちもまたその教科書に従い生活していたとも解釈できるが、しかし、だからと言って本当に“目的”のためのカモフラージュだったのかと言えば、さまざまな疑問は残る。成績優秀で真面目との多くの証言は、中学時代から聞こえるもので、実際に彼女たちは「根っから真面目」だったのだろう。だからこそ、東アジアの考えに共感する。そして同じ考えを持つ“同士”である男たちにも――。
(後編につづく)
最終更新:2019/05/21 19:59