海外
ウィル・スミスに平手打ちされた男よ!

アデルのグラミー賞スピーチを邪魔した、名物リポーターが刑務所入り!?

2013/04/19 16:00
「あちきの見せ場とるんじゃねえよ、馬鹿野郎この野郎」
とはアデルの心の声

 今年2月に行われた、第55回グラミー賞の授賞式会場に不法侵入し、アデルが最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス賞を受賞した際、まるで自分が賞を獲得したかのように笑顔でステージに上がり、プレゼンターのジェニファー・ロペスに制止された“グラミー・クラッシャー”こと、ヴィタリ・セディウクが、刑務所入りとなる可能性が出てきた。ウクライナのテレビリポーターとしてキャリアを積んできた彼は、面白ハプニングで式典を盛り上げようと、式場に潜入。厳重な警備体制を敷いていると発表していたロサンゼルス市警はメンツを潰され、大激怒しており、裁判の行方が注目されている。

 米ゴシップ芸能サイト「TMZ」によると、グラミー賞でアデルの受賞スピーチを妨害しようとしたヴィタリは、不法侵入と妨害の2つの罪に問われており、1,000ドル(約10万円)の罰金と最高で6カ月の禁錮刑が科される可能性が出てきたとのこと。裁判所での罪状認否は、5月31日に行われる予定だという。

 アデルのスピーチを妨害しようとした直後に逮捕されたヴィタリは、釈放後、米ショービジネス誌「Hollywood Reporter」の取材に対して、「自分が働く局は招待状をもらえなかったから、招待状を持っている友人について行ったんだ。受付ではたいした確認が行われず、あっさりと入場できたよ。メディア関係者が集まるセクションにも問題なく入れ、ジェニファー・ロペスやニコール・キッドマンらにインタビューもできた。式場の入り口では、ボディチェックを受けたが、招待状は確認されず楽勝だった」と警備が手薄だったことを暴露。「式場に入ると2列目に空席があったので、そこに座った。周りには、ビヨンセやスティング、ジャスティン・ティンバーレイクらA級セレブばかりがいたよ。自分が座った席は、アダム・レヴィーン用のだったと思う。彼は床に座ってたし」と罪悪感はゼロであることを明かし、「アデルは大好きな歌手なんだ。彼女の名が呼ばれた時、自分が受賞したかのように振る舞ったら面白いなってひらめいたんだよ」と、ステージに上がった経緯を語った。

 笑顔でゆっくりとステージに上がったヴィタリはあまりにも堂々としていたため、不審者だと思わなかった人もいたほどだった。しかし、プレゼンターのジェニファー・ロペスは戸惑いの表情を浮かべて、ステージの中央に進もうとしていたヴィタリを阻止。バックステージに追い払われた彼は、激怒した警備員やグラミー賞のクルーたちに囲まれ、そこで初めて事の重大さに気がついたと告白している。警察に引き渡されたヴィタリは、不法侵入罪で逮捕され、式場への侵入方法についての尋問を受けたとのこと。そして、一夜を拘置所で過ごし、釈放された。

 ヴィタリは、「自分のおふざけは、無害なものだ。セレブの意外な表情を引き出すことで、みんなを楽しませようとしているだけだ」と主張。しかし、今回のグラミー賞は、3人を殺害した元警官クリストファー・ドーナーが逃走するさなかに開催されたため、ロサンゼルス市警は「万が一の事態を考え、いつもよりも厳重に警備を行う」と発表しており、ヴィタリにバカにされたと大激怒。厳しい刑を科すと息巻いていると報じられた。

 25歳になるヴィタリは、大学2年生の時に総合&エンタメチャンネル「TNT」の実習生としてテレビリポーターとしてのキャリアをスタート。21歳の時、エンタメチャンネル「1+1」に転職し、スキルアップに励むようになった。礼儀正しい好青年のイメージを保ちつつ、アグレッシブに鋭い質問を投げつけるスタイルで、彼はたちまち人気者に。「1+1」転職後、たった2年で、ビル・クリントンやサラ・ジェシカ・パーカー、カイリー・ミノーグやジャン=クロード・ヴァン・ダムら大物セレブにインタビューを行うまでになった。

 ヴィタリがヨーロッパでの知名度を上げたのは、2011年4月のこと。イギリス国営テレビ「BBC」のロイヤルウェディング生中継に乱入し、美人リポーターに「私はウクライナの王子です。あなたはとても美しい。結婚してください」とプロポーズしたのがきっかけだった。これは「1+1」のいたずらリポートとして行ったのだが大した害もなく、イギリス国内はお祭り気分に沸いていたため、ヴィタリは「ウクライナの面白い男」として受け入れられた。

 同年9月には、ベネチア国際映画祭の記者会見で、マドンナがアジサイを大嫌いなことを知っていた上で、アジサイの花束をプレゼントし、マドンナから「アジサイって死ぬほど嫌い」と本音を吐かせることに成功。当初、マドンナは「大人げない」と非難されたが、ヴィタリにハメられたことが判明すると、一転して同情されるようになった。この6カ月後、ヴィタリは、『メン・イン・ブラック3』のモスクワ上映プレミアのレッドカーペットで、主演のウィル・スミスに無理やりキスしようとし、ビンタをお見舞いされ、ネットでは、「また、ウクライナのバカか」と話題になった。

 マドンナとウィル・スミスへの“クラッシュ”行為で、世界的な知名度を得たヴィタリは、昨年7月にロサンゼルスに移住。ウクライナのテレビ局のリポーターとして働く一方、監督と俳優を目指し、ハリウッドで活動を開始した。彼は、ウクライナで、「マドンナのアジサイ事件」にインスパイアされたショート映画『Gortensia』(12)を制作・出演しており、監督業、俳優業に興味を持ったものとみられている。

 テロに敏感なアメリカにとって、おふざけのためとはいえ警察の厳重な警備をかいくぐることは、ジョークでは済まされない。アメリカンドリームを夢見るヴィタリが、刑務所に入れられるのかどうかは、まだ定かではないが、ハリウッドから追放され、強制送還になることは間違いなさそうである。

最終更新:2013/04/19 16:00
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