カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「美ST」5月号

「内面磨け」「チャラい」の声に大反論、「美ST」が問う「美魔女で何がいけないの?」

2013/04/14 14:00

■やっぱり無理はあるよね?

 要するに、“美魔女とは、若い男を漁るために着飾って遊んでいる痛々しい中年女ではなく、美を通して自己実現や社会貢献をしたり明るい家庭を築いている素晴らしい生き方を言うのである”ということが言いたいのだと思います。みなさんはどう思いますか。正直言うと筆者は、こんな企画そのものがアホらしいと思いました。美魔女でいることに理由づけしたりメリットを並び立てる必要なんてないのに、そうしなければまさに“魔女狩り”のごとく排除しようとする世の中が息苦しくてたまりません。

 美魔女は、はっきり言ってイタいです。

 これは、「美ST」を長らくウォッチングしてきた筆者の正直な感想です。だって無理してるもん。でも、いいんです。イタいと言われながらも、楽しんで生き生きして人生を謳歌しているからこそ、どこか清々しさを感じるんです。魔女は凡人とは違います。世間の常識から外れている存在です。だから人は恐れ忌み嫌い疎ましがる。だけど敬い憧れる気持ちもどこかにあるんです。

 誰だって他人から「イタい」なんて言われたくないですよ。「イタい」と言われたくないから、大多数の人は、いわゆる年相応、属性相応の容姿を心がけ、容姿だけでなく生き方も“お友だち”と足並みを揃えようと四六時中意識して暮らしているのです。そして、その足並みから少しでも外れた時は、恥ずかしいやら焦るやら妬ましいやらでストレスが溜まる。で、テレビや雑誌を見て「この女、イタいよね~」なんて嘲り笑ってストレス解消して、「私は、他人様から『イタい』なんて言われない」ということだけを幸せのよりどころにして、日々やり過ごしているんです。私たち、そんな小っせえ人間なのよ。

 こんな雑魚女に美魔女が媚びる必要がどこにありましょうか。誰に迷惑をかけているわけでもない、ただ自分の思うままに生きることでイタいと言われるなら言わせておけばいいじゃないですか。というか、言わせてください。属性相応に生きることが理想の生き方だと信じていて、「自分の思うまま生きる」ことがどういうことかすらわからない私たちは、天に唾するように言い続けます。あの人、イタいよね。
(亀井百合子)

最終更新:2013/04/14 14:00
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