カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「美ST」5月号

「内面磨け」「チャラい」の声に大反論、「美ST」が問う「美魔女で何がいけないの?」

2013/04/14 14:00
「美ST」2013年5月号/光文社

 巷でもたまに論争となることがある「美魔女はイタいか?」という問題について、「美ST」5月号(光文社)が決着をつけようとしています。「私たち美魔女ですが、何か?」という企画が組まれているのです。タイトルの下には主旨が次のように書いてあります。

「『いい年して、外見ばかり飾る女って痛々しいね』 “美魔女”と呼ばれる40代女性の生き方に対して最近、芸能界から数多くの辛辣な声が……。そんな世の中の風潮に美魔女からも一言! 『自分を磨いてキレイになって、何がいけないんですか?』」

 そして、その周りにマツコ・デラックスらしき人(似顔絵だけで名前は明記されていない)が「若い女と戦ってるってほんとに愚かだからね!」と言っていたり、有吉弘行らしき人が「50で30に見えるんだったら、30の女でいいんだよ」、今田耕司らしき人が「50代になっっても必死になって若い頃の“ナイスバディ”を求める女性がすごく辛そう」と、毒を吐いていました。その中には、平子理沙らしき女性も……。「エイジレスとか美魔女って言葉は好きじゃない」。これ、彼女が「GLAMOROUS」2013年3月号(講談社)に登場したときに発言した言葉のようです。

 読者からしてみれば、平子理沙こそ“イタいい女”の代表格なんですが、ご本人はそういうつもりがないとは意外です。と同時に、「美ST」が平子理沙に宣戦布告する形の企画を組んでいることも意外でした。振り返れば、「美ST」では過去にも「やっていい”りちゃ”、ダメな”りちゃ”」などの企画を組んで、平子理沙とその信者を愛情を持ってディスってきました。平子理沙に対しては愛憎半ばというか、おちょくり憧れ半ばなんですね。「美ST」と平子理沙の距離感、好きです。ということで、この企画の中身をじっくり詳しく見てみましょう。

<トピック>
◎40代、キレイのために「いつ変わるか?今でしょ!」
◎コスメか?美容医療か?美白戦争2013
◎私たち美魔女ですが、何か?

■美魔女になると会社が右肩上がりになるらしい

 「私たち美魔女ですが、何か?」のまず初めは、新橋のサラリーマンへのアンケート調査。「あなたは美魔女を知ってますか?」という質問に30人中28人がYESと回答。「あなたは美魔女を支持しますか?」という質問にYESと回答したのは、30人中たったの9人でした。いわく、「年相応でよくない?」「お金かかりそうだよね~」「やっぱり女はか弱く、男は強くだろ」といった、いかにもおじさんらしい意見偏見をお持ちのようで、美魔女がひとつひとつ反論しています。

 例えば、「チャラチャラしててイタい……」という意見に対しては、「月に一度は学会に参加してますけど」、「ちゃんと内面も磨けよ!」に対しては「心理学に古典文学…ひと月に読むのは10冊くらいかな」、「ちゃんと家のことやってるの?」に対しては「美食同源! 家族の喜ぶ顔は最高の美容液よね」と、美魔女の賢くて家庭的な一面をアピールしています。昭和の昔から日本人は、“見た目はチャラいが中身は硬派”、“不良なのに捨て猫を拾ってくる”という設定に弱いですよね。ギャップ萌えってやつ。美魔女もそのカテゴリの1つであるということです。

 さらに、次のページでは、衆議院議員の野田聖子氏、社会学教授の山田昌広氏、経済評論家の勝間和代氏が登場して、それぞれお得意の分野に引き寄せて(理想・ジェンダー・合理)で美魔女を擁護しています。

「一生懸命努力している姿は素敵。ましてや美しさは人を不愉快にしないもの。怠惰で何もしていない人ほど、後ろめたさと恥ずかしさから妬むのだと思います」(野田)
「女性は、男性のために自分磨きをやっているわけではなく、原動力は、自分が何かに努力しそれが他人から評価・承認されることを望む“自己実現”への欲求」(山田)
「美魔女ブームの根底にあるのは、女性の社会的な地位の向上です。復職組も含め就業率が伸び、管理職も増加して生産資金がアップ。(中略)美しくなるための意欲は消費活動に貢献。仲間が増えたり、健康維持に役立ったり、仕事への活力も産まれるなど、プラス面は多い」(勝間)

 さらに次のページでは、美魔女たちが登場し、「テレビ出演、CDデビュー、本の出版、CMと怖いくらい順調」「(経営している)ネイルサロンのお客さんも増えて嬉しい悲鳴」「(経営している)会社の知名度も上がり業績も右肩上がり」などと“美魔女”と呼ばれることのメリットを語り、「美魔女の母(74歳)も元気になった」「被災者が元気になった」「患者さんとの距離が縮まった」など他者へもたらした感動秘話まで綴られています。

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