カルチャー
[育児誌速攻レビュー] 「孫の力」第11号

団塊世代を焚きつける「孫の力」、孫のために無人島購入を推奨!

2013/04/11 16:00

 「孫の力」の公式サイトを見ると、「団塊世代よ、無駄に生きるな」というスローガンがでかでかと出てきて、これまたやる気マンマン。そこでも無数に紹介される“孫商品”。孫と一緒に作れる安土城のプラモデル(3,150円)に始まり、「お孫さんに本物のだしの味を!」と孫と一緒にかつお節作りができる1万4,700円の高級カツオ節削り器、1万5,750円の「そば打ちセット」で自作そばを孫に披露、などなど、こじつけな感じもありつつ、実に多種多様な業界がこの“孫ビジネス”に参入しています。

 さらに「宝ものを産んでくれた息子夫婦へ感謝を込めた贈り物を」と、霜降りの和牛の写真まで載っています。最終的には「孫の友達のお母さんたちへ、日頃の感謝のギフトを」とか言い出しそうな勢い!

■亀のせいで、孫のライフスタイルに制限も!

 最新号は「孫に遺す」と題し、「遺産選び」を大特集。写真家の立木義浩さんが登場し、2歳の孫に遺すものとして「クラシックカメラ」を披露。戦後のドラマとかで出てきそうな、アコーディオンみたいなジャバラが付いてて両手で持たなきゃいけない巨大な木製のカメラです。確かに、写真家のジイジからもらったらうれしいかもしんないけど……場所取りそう! 今後デジカメ以上に便利なカメラとか出そうだし。

 しょっぱなからスゲエ“団塊”な感じの贈り物見せ付けられたんですが、後に続くのもすごいです。白洲次郎の孫・白洲信哉が遺すものは、なんと「洋酒の樽」。樽職人に依頼して維持してる、みたいなことが書いてありますけど、なんか大変そう! 逸見政孝が遺した12億円の豪邸の固定資産税が8,000万円かかり、息子の太郎の生活がアップアップ、という話を思い出します。

 「ライカ」に「懐中時計」、そして「ビートルズのレコード」と“THE・団塊”な品物が続く中、「寿命が30~50年のリクガメ」と「100年以上のゾウガメ」というリスキーな物品も躊躇なく紹介。確かに「この亀はおじいちゃんの代から飼ってるんだ」と聞いたら、「いい家の人なんだなー」と思いますが、親族で揉め事があったら「何を遺してくれてんだ!」という結論になりそう。かっこつけジジイが「リクガメ」先行で動かないことを願います。

 ここで秋元康も登場。氏が孫に遺したいのは「美空ひばり」とのこと。「こんなに素晴らしい人がいた」ということを伝えたいということらしいのですが、秋元先生自身が40年後にはどこかのジジイから孫へ語り継がれてそうですよね。

 こうして「孫に遺すもの」として、さりげなく商品を推してくる「孫の力」。

 後半になると「孫と一緒にのんびり過ごしたい──そんな贅沢な夢をかなえてくれる場所として、無人島という選択肢があります」と言い出し、なんと「無人島」を提案! 「今すぐ買える無人島」として「広島の来島 価格:5億円」をサラリと紹介してます。「三重県の丸島なら、2200万円と現実的」だそうです。「お孫さんとともに、サバイバル力が試される自給自足の暮らしにチャレンジすれば、一生の思い出になりますね」と書いてあるけど、孫を無人島に単独で連れ出すには、まず嫁との信頼関係を築き上げないと! 「無人島の不動産情報」のURLも載っていて、シャレじゃなくてガチな雰囲気を徹底してるのも「孫の力」の特徴です。本当に購入する読者がいそう! でも無人島、いります!?

■老人ボディビルダーと同じ意味合い

 「孫の力」の名物コーナー「グランパグランマ」。ポップなビタミンカラーを背景に、オシャレな服をまとった“じいじ”たちがおどけたポーズをキメて写っているグラビアページです。「nina’s」で千秋やオセロ・松嶋尚美の世界観を、知らないおじいちゃんがやっているという、舅に「やったんじゃ」と言われて見せられたら直視する自信がない、そんな団塊爆発なページです。余裕があるって、いい……よね?

 街で見る定年を過ぎた“おじいさん”って、だいたい1人でロボットみたいに歩いてるか、妻らしき人の後ろにトボトボくっついてる人がほとんど。馬車馬のように働き尽くして電池切れ、という感じのおじいさんが大多数の中、エレベーターなどでボタンを押してくれたり、こちらが連れている赤ちゃんに声をかけたりしてくれる、生き生きしてるおじいさんはかなり少数派。彼ら生き生き派は「薄手のデニム」着用率が高く、“現役感”を主張してきます。今回登場した写真家の立木さんも薄手のデニムのキャップをかぶり、ダンガリーシャツを着ていました。

 少数派だけをターゲットに絞り、「昭和はよかった」的なコラムと「AKB48を覚えて孫と会話しよう」という孫媚び情報で“薄手のデニム層”を眠らせない「孫の力」。これからもパワフルな世界観を見せてくれそうです!
(田房永子)

最終更新:2013/04/11 19:37
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