コラム
【この家電、ホントに使える?】第2回

花粉症&PM2.5にプラズマクラスターやナノイーは無効!?

2013/04/08 21:00
売り場で大展開されている清浄機の数々

 スギ花粉のピークは過ぎたといっても、ヒノキ花粉はこれからがピーク。しかも5月まで、新参者のPM2.5まで含んだ黄砂の季節が続くとあっては、今年は当分マスクから解放されそうな気がしない。誰もが「せめて家の中くらいでは、安心して深呼吸したい!」と思うのも当然だろう。そんな気持ちを象徴する様に全国の家電量販店で、空気清浄機が飛ぶように売れている。

 しかし、この空気清浄機という機械。どれも見た目は同じようなので、「何がどう違うのかさっぱりわからない。一体どれを選べば良いの?」という声をよく聞く。この空気清浄機という機械、実は案外ハイテク製品なのだ。使い道によって選ぶべき機種がかなり変わることを知っておいた方がいい。そこで、今回は皆さんのライフスタイル別で選ぶべき機種を解説したい。

■キツイ花粉症にプラズマクラスターやナノイーは無効

 その前に、まずは基本的な機械の仕組みを理解しておこう。「空気清浄機の仕組みって知ってる?」と聞くと、ほとんどの人が「汚れた空気を吸って、フィルターで濾して、きれいな空気にして出すんでしょ?」と答える。これは間違っていないが、答えとしては40点。それは、 20年前の空気清浄機か、エアコンのフィルターの仕組みだ。それでは、ホコリは捕れても、花粉やダニ、ましてやPM2.5やウィルスなどは捕まえることはできない。部屋の空気を、ただグルグルとかき回しているだけだ。

 では現在の空気清浄機はどんな仕組みで空気をキレイにしているのだろう? 大きく分類すると、現代の空気清浄機には“飛び出す攻撃型”と“引き込む防御型”があることを理解しておきたい。

“飛び出す攻撃型”とは、シャープの“プラズマクラスター”やパナソニックの“ナノイー”に代表されるような、イオンを大量に放出して、部屋の空間にあるウィルスや花粉を攻撃し、酸化分解してやろうというタイプ。早朝の森や滝の側で清々清涼感を感じるのは、マイナスイオンの効果。これを人工的に起こしていると思えばわかり易い。吹き出す風にイオンを乗せて遠くまで運ぶので、清浄範囲が広くなるのも長所といえる。ただ欠点を挙げれば、効果が穏やかで感じにくいこと。「きっと効いているんだろうなぁ」という緩やかな効果は、キツイ花粉症で悩む人のように、清浄力に即応性を求める人には向いていない。

 一方“引き込む防御型”とは、ダイキンの“光速ストリーマ”に代表されるように、ウィルスや花粉を清浄機内に吸い込んで、強烈なプラズマ放電等で、ウィルスや花粉を焼き尽くすように分解するタイプ。10万℃相当と言われる分解力は強烈で、みるみるうちに空気中の不純物が分解されていく効果が感じられるのは心強い。清浄機の側にいる限り清浄効果をダイレクトに感じられるのが長所だ。ただし引き込む力はファンの能力に比例する。より大きな効果を望むなら大きなファンが必要。清浄機自体の大型化と、ファンの騒音の増大が避けられないのが欠点だ。

 ところで“引き込む防御型”にはもう1つのタイプがある。昔ながらのフィルターで濾過するタイプだが、こちらは“HEPAフィルター”と呼ばれる極細のガラス繊維でできたハイテクフィルターを利用したものだ。風量を保ちながら、0.3μmの極小粒子でも99.97%以上の粒子捕集率を持つ性能は圧倒的な性能だ。難敵のPM2.5も確実に捕獲してくれるのは長所と言える。しかし所詮、原理は水道の浄水器と同じ。高価な高性能フィルターを永久に買い替え続けないといけないのが最大の短所だ。

 では、いよいよライフスタイル別に具体的なメーカーと機種を選んでみよう。

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