ビヨンセは直感頼り、カニエは芸術性重視。セレブデザイナーの勝敗の要因は?
先日、パリのファッション・ウィークで華々しくデザイナー・デビューを果たしたリアーナ。多くの人々が彼女のデザイナーとしての才能に注目したが、ファッション評論家には酷評された。話題性はあるが、あまりにも露出度が高く、買う人は少ないだろうと報じられた。
3つのクロージング・ラインを立ち上げ、年収10億ドル(約960億円)を稼ぐ一流デザイナーへと変身を遂げた『フルハウス』のオルセン姉妹の例があるからか、ファッション・デザイナーに挑戦するセレブは後を絶たない。7億5,000万ドル(約700億円)を売り上げ、「ファッション・ビリオンダラー・ベイビー」と言われるようになったジェシカ・シンプソンのように成功した者もいるし、リアーナのように「歌手として超一流だけれど、ファッション・デザイナーとして三流」というセレブもいる。
今回は、そんなファッション・デザイナーに挑戦したセレブたちを紹介したい。
■ニコール・リッチー
ライオネル・リッチーの養女でセレブとして育ち、パリス・ヒルトンと共に『シンプル・ライフ』でデビューを飾ったため、長いこと「ぽっちゃりした金持ちだけど、下品で常識のない娘」として見られてきたニコール・リッチー。飲酒運転での逮捕、薬物依存、激やせなどスキャンダルにも見舞われた彼女だったが、2006年12月にパンクバンド「グッド・シャーロット」のジョエル・マッデンと交際するようになってから運が上向きに。07年に設立した、ファッション・ライン「ハウス・オブ・ハーロウ 1960」はヒットし、彼女のイメージは大きく変わった。
「ハウス・オブ・ハーロウ 1960」は、彼女が影響を受けている60年代風のアンティーク調デザインをメインとしたもので、アフリカンテイストがちりばめられたクロージングとジュエリーはセレブに大ウケ。ハリウッド若手デザイナーとして一目置かれる存在となった。
4年後には、気を張らずに着られるカジュアル・クロージング・ライン「ウィンター・ケイト」を立ち上げ、こちらも人気は上々。売り上げ額は未公開となっているが、ニコールの資産は500万ドル(約4億6,000万円)といわれており、ビジネスは順調だと見られている。
■ジャスティン・ティンバーレイク
人気歌手/俳優ジャスティン・ティンバーレイクは、2006年に、親友トレース・アヤラと共にファッションブランド「ウィリアム・ラスト」を設立。07年には高級百貨店ノードストロームで展示会を行ったり、ニューヨーク・ファッションウィークで新作コレクションを発表したり、セレブが手がけるハイエンド・ラインとして常に注目されている。クラシック・アメリカン・デニムを使ったカジュアル・ラインはお手ごろ価格でもあり、10年には「ターゲット」に進出。ターゲットとは、デザイナーと提携することでクオリティの良い商品を揃え、激安スーパーなのに「おしゃれ」だと顧客数を伸ばしているアメリカの大手チェーンスーパー。そのターゲットと手を組んだジャスティンのビジネスセンスも評価された。
フランク・シナトラやエルビス・プレスリーらをファッションのお手本にしているというジャスティン。「ウィリアム・ラスト」の売り上げは確実に伸びており、11年には経済誌「フォーブス」が、「1年に5,000万ドル(約48億円)を売り上げている」と報道。アイドルから歌手、俳優、音楽プロデューサー、コメディアン、ビジネスマンと多才な才能を持つ彼をたたえた。
■ビヨンセ
ナイスボディの持ち主で、全米の女性から羨望のまなざしで見られているビヨンセだが、04年に母親と共に立ち上げたクロージング・レーベル「ハウス・オブ・デレオン」は、成功しているとは言い難い。彼女の母は長年にわたり、デスティニーズ・チャイルドの“ブーティリシャス”(美味しいそうな体)なコスチュームを手がけてきた実績を持ち、母親と共にインスピレーションを頼りにデザインしているそうだが、ブランドは鳴かず飛ばずである。
ヴィクトリア・ベッカムやオルセン姉妹、ニコール・リッチーなど、セレブが立ち上げたブランドのはセレブの愛用者が多くつくのが特長なのだが、ビヨンセのクロージングのファンだと公言するセレブはおらず、その点もヒットにつながらない要因。ブランド名のデレオンは母方の祖母の名前。ファミリービジネスという意味合いが強いため、ビヨンセは売り上げにはあまりだわっていないのかもしれない。