サイゾーウーマン芸能テレビテレビツッコミ道場『ロンハー』の素材を活かす調理方法 芸能 [TVツッコミ道場] パンサー尾形という素材を生かしたテレ朝『ロンドンハーツ』の調整力 2013/03/30 11:45 TVツッコミ道場テレビ朝日ロンドンハーツパンサーパンサー尾形 『ロンドンハーツ5』(よしもとアール・アンド・シー) 今回ツッコませていただくのは、3月26日放送分『ロンドンハーツ 春の3時間SP』(テレビ朝日系)の「パンサー尾形 密着32日間ミュージカルドッキリSP」。 「パンサー」と言えば、今、「出待ちナンバーワン」とも言われる、大人気の吉本興業所属のトリオ。だが、「パンサー尾形」と言えば、思い浮かぶイメージは別のものだろう。それは、グラビアアイドル・杉原杏璃の罠にハメられた『ロンハー』の「マジックメール特別編」。自信のなさやケチさ、ナルシストで小心なダメっぷりを存分に発揮したうえ、騙されていたことがわかると、本人の目の前で「クソ女」と言ったり、「素人には手を出します」発言をしたりと、最低な言動を炸裂させていた。 にもかかわらず、一般視聴者から挙がっていた声は「カワイソー」「かわいい(笑)」「面白すぎ」という好意的なものが圧倒的多数だったのも印象的だった。続いて、昨年末の『ロンハー』での「ウラでこんなことやってました2012 クリスマスだからバラしてもいいよねSP」では、日本経済などに関するシンポジウムのパネラー役の仕事が、手違いで来てしまったという設定のドッキリ企画で登場。難しい用語が飛び交う中、イヤホンでくるはずの指示が来なかったり、メールでの指示が届いたかと思いきや、添付された動画は、ラジオ体操やAV動画だったり……。そのたびに見せるうろたえぶりが、なんとも物悲しく、おかしかった。 で、今回は手間暇かけたミュージカルの主役ドッキリ。今回も同じく全力投球で、おバカでピュアで、最終的には感動すらあった。おそらくこの企画で、パンサー尾形の好感度はさらに上がっていることだろう。 それにしても、あらためて見事だと感じるのは、『ロンハー』の調理法の巧みさだ。吉本期待の人気者・パンサーの中でも、アイドル的人気の高い向井慧ではなく、尾形に着目するところもうまいし、「マジックメール」以降の展開の仕方もうまい。これまでマジックメール系の恋愛・女ネタ企画では、狩野やフルーツポンチ・村上健志や、ゆってぃなどが登場し、「悪事を成敗される」方向のオチになっていた。制作側の予想を超越した狩野英孝の存在は別として、多くの場合は「サイテーさを成敗する痛快さ」を楽しむ企画になっていたように思う。でも、パンサー尾形の場合は、これまでと何かが異なる。注目したのは「最低さ」よりも「真剣さ」「純粋さ」の方であり、何よりその「ピュアでバカで気の毒」な様子を温かく見守る企画になっている。見ている側は、時に呆れつつも、不思議と温かい気持ちになる。 「ピュアでバカで、可愛い」というのは、芸人の系統でいうと、よゐこの濱口優やタカアンドトシのタカに近いだろうか。従来の『ロンハー』は、もっと黒く、ドギツイ企画が多かった気がするが、もしかしたらやや路線変更もあるのだろうか。まず「素材」を探し、決めうちで番組を作るのではなく、素材をさまざまな方法で調理してみつつ、試行錯誤の調整を繰り返し、ベストの調理法を見つけていくうまさは、テレ朝ならでは。改めてテレ朝の「調整力」を見た思いがした番組だった。 (田幸和歌子) 最終更新:2013/04/05 23:01 Amazon 『ロンドンハーツ5 [DVD]』 素材よりも調理法、ってことに気付いてほしーの 関連記事 テレビ朝日が味を覚えた、「弱者」ぶりっこの計算番組に違和感テレ朝に抜かれた日テレ、看板番組『深イイ』『しゃべくり』に異例のテコ入れ?「女子っぽい芸人」の茶番の中、1人本物感を発揮していたロバート・馬場「打倒フジ」を掲げる日テレ、『ブラバラ』『スタードラフト会議』終了の吉凶テレビ朝日、50周年プロジェクトの空虚な実態 次の記事 芸能界の光と影を見た子役面接 >