彼氏のイニシャル入りハンカチを常備、「Ray」愛され女子がオカン化
「Ray」(主婦の友社)4月号は、非常に「Ray」らしい特集「恋に効くワンピが欲しい(はぁと)」からスタートしています。「彼のとびきりの笑顔が見たいから…」というコピーに、「恋愛しない人は人間に非ず」という排他的なメッセージ性が感じられますね! ひと目ぼれさせるワンピ、初めてのデートにふさわしいメモリアルワンピ、飽きさせないワンピ、安心感を与えて惚れ直させるワンピ、思わず笑顔にさせる仲直りワンピ……。高級レストランでのディナーや公園デートなど、シーン別で着る服を分けるのはわかるのですが、「彼の気持ちを司りたい」という欲望でワンピをバカ買いする「Ray」の思考は理解しかねます。彼氏と別れるか否かの危うい状態の時に、「よしっ! じゃあ今日は駆け引きワンピでいこう♪」なんて、余裕ありすぎ。「男とのいざこざで地獄を見たことがない女子」そんな選ばれし読者しか楽しめない特集のようです。
<トピック>
◎恋に効くワンピが欲しい(はぁと)
◎バッグの中身しっかりきっちり全部見せ
◎RayガールズのWedding白書
■男を「必ず殺す」最強バッグの正体
「彼の気持ちを司りたい」という欲望は、「バッグの中身しっかりきっちり全部見せ」の企画でもありありと感じ取れます。
「女子ウケ」を狙うバッグの中身は、「カラフルキュートで楽しくなる雰囲気づくり」「大人っぽさを意識した黒をベースに」など「ビジュアル重視」をモットーに、また「初対面ウケ」を狙うバッグの中身は、「色味を統一してスッキリさせる」「お手入れして持ち物をきれいな状態にキープ」など「おしゃれな清潔感」をモットーにするとよいのだとか。バッグの奥底が、常にざらざらと砂っぽい「ナチュラルに不潔感」のある女には難易度がお高めですね。
しかし、「Ray」の本領発揮の場はやはり「男子ウケ」バッグ術にありました。「メンズに効果的な必殺アイテム」と銘打たれた品には、「必ず殺す」の目標に恥じぬ、緻密な戦略が隠されていたのです。
まずは、手を抜くかどうかで女度に差が出る「ティッシュケース」、知的さを演出できる「キュートなブックカバー」といった、自己演出のための“変装グッズ”。次に男子に「触らせて」と言わせるための「ゆるキャラグッズ」、合コンで会話のきっかけになる『ワンピース』(集英社)の「スマホケース」といった、獲物を引き付けるための“エサ”。そして彼と自分のそれぞれのイニシャルが刺繍された「ハンカチ2枚」、彼が咳をした時用ののど飴も完備した「ちびお菓子のミニポーチ」といった、直接彼のハートを打ち抜く“拳銃”まで……! まさに、モテの必殺仕事人バッグといっても過言ではありません。
とりわけ、イニシャルハンカチ2枚持ちの衝撃が強いのですが、「Ray」的には、「愛され女子のNEWスタンダード」なんだとか。どうにも、オカンが息子に手作りする「うざカワアイテム」にしか思えません。彼の気持ちを司りたい――その思いは、女子をでしゃばりなオカンにしてしまうのかもしれません。彼氏が反抗期を起こさなければいいのですが。
■「Ray」の結婚式妄想が怖い
今号では、結婚に関する企画「RayガールズのWedding白書」もありました。まだ女子大生の読者にとって、結婚は未知のもの。さぞかしドリーミングな結婚妄想に花を咲かせているだろうと思いきや、誌面には先輩花嫁からの細かすぎるツッコミが飛び交っていました。式場選びに関しては「新婚旅行や新生活にお金がかかるので、式の予算に無理や見栄は禁物です」、ドレス選びに関しては「着たいドレス=似合うとは限らないので注意」、当日披露宴に関しては「トイレにいけないから水分は控えめに」など、尿意へのアドバイスもぬかりありません。
さらに、「2013年結婚トレンドリアルデータ」は、「結婚にはいくらお金がかかるのか……挙式・披露宴で平均343.8万円」「ご祝儀はいくらもらえるか……平均総額226.3万円」「親、親族の援助はいくらもらえるか……YESの平均182.8万円」「指輪の値段の相場は……婚約指輪平均31.7万円、結婚指輪(夫婦で)平均21.5万円」など、金・金・金のオンパレード! 「Ray」読者に現実を突きつけるような構成になっているのです。
しかし、そんな「リアルデータ」で揺るがないのが「Ray」のたくましいところ。同ページで、読者モデル「プリ(はぁと)クラ」のメンバーが憧れの結婚式について語っているのですが、その内容があまりにもバカバカしい! 「私ガータートスをやってみたいんですけど、見たことありますか?」「新郎が新婦のドレスの中に入ってガーターをはずして投げるやつです。マンガで見て、いいな~って(はぁと)」などと、結婚式から早速姑の神経を逆なでするような演出を夢見ているのです。2次会ならまだしも、披露宴でのガータートス……のちのち「ウェディングハイだった」では済まない事態になるのでは? 息子が女のスカートに潜り込む姿を見たい母親なんていませんよ!
そんなどこか抜けたところのある「Ray」読モですが、結婚後は、今まで男ウケに費やしていたパワーを、ぜひオカンモテに費やしてほしいものです。あの巧妙なテクを使えば、円満な嫁姑関係を必ずや築けるような気がします。
(豊島ユイ)