「女の友情は壊れやすい」を覆す、セレブが築いた理想の友情

　心を許し、なんでも言い合える友人を作ることはたやすいことではない。知名度を利用されることが多いセレブはなおさらのこと、心から信頼できる人と出会うことさえ難しいとされている。セレブ同士が友人になることもあるが、ライバル意識が強いために続きしないことが多い。ニコール・リッチーらと仲違いしたパリス・ヒルトンが、そのよい例だ。しかし、一方で、ジェニファー・アニストンとコートニー・コックスのように、セレブ同士の大親友も存在するのである。今回は、ともにセレブでありながら友情を育み、無二の親友“BFF（Best friends forever）”となった人たちを紹介したい。

■クリステン・スチュワート（22）とダコタ・ファニング（18）

　映画『ニュームーン／トワイライト・サーガ』（09）で共演したことがきっかけで大親友になったという、クリステンとダコタ。大スターの2人だが、ダコタは「一緒にいる時は映画の話はしない。クリステンは私にとって純粋に仲のよい友達で、どこにでもいるような親友って関係なの」と語っている。2人は『トワイライト』シリーズ以外でも共演しており、70年代に活躍したガールズロックバンド、ザ・ランナウェイズの伝記映画『ランナウェイズ』（10）では息の合った演技を披露。クリステンと、当時まだ15歳だったダコタのキスシーンは大きな話題になり、プロモーションでも質問攻撃にあったが、2人はにこやかにコメントしていた。ダコタは「とっても仲がいい友達と一緒に仕事ができて、私は本当にラッキーだって感じている」とも発言。プレミア上映会では腕を組み、大爆笑しながらレッドカーペットを歩き、その仲のよさが報じられた。

　ダコタは、昨年、クリステンが浮気騒動を起こし、世間からバッシングされていた時に、「大体、マスコミが煽ってこの狂乱騒ぎを起こしたのよ。クリステンの苦しみや悲しみ、失恋した気持ちを次から次へと報じて。有名人だから、全部伝える権利があるとでも思ってるんでしょうね。そんな権利なんて誰も持っていないのに。みんな人のこと、とやかく言えるわけ？」と顔をしかめ、きつい口調で言い放ち、話題となった。

■テイラー・スウィフト（23）とエマ・ストーン（24）

　恋多き美女として知られるテイラー・スウィフトは、交際してきた男性との関係を歌詞として書き上げ、女性の共感を集めている。しかし「気が多そうだし、略奪されそうだし、美人すぎるから友達にはなりたくないタイプ」とも言われることが多い。そのため女友達ゼロだと見られることがあるが、2年前に、「信頼できる女友達が2人いる」と発言している。

　テイラーは、「私は友達に恵まれているわ。その中でも、セレーナ・ゴメスとエマ・ストーンは……私が何を考えているのかわかってくれるし、まるで姉妹みたく仲がいいの。これだけ仲がいい友達がいるって、本当にクールよね」と告白。その後、若き演技派女優として評価されているエマが、歌手であるテイラーとの出会いは、映画専門誌「ハリウッド・ライフ」が主催する「2007年度ヤング・ハリウッド・アワード」だったと明かした。

　「実際に会ってみて、彼女がどんな曲を作っているのか興味を持ってね。聞いてみたら、いいなって思って。『いい曲だね～』ってメールを送ったの。それがきっかけで普通にメールをするようになって、電話で話すようになって、頻繁に出かけるようになって」と語ったエマは、「テイラーは、本当にすごく面白いコなの。誰も知らないけどね」とうれしそうに褒めちぎり、2人の友情の深さを見せつけた。

■ティナ・フェイ（42）とエイミー・ポーラー（41）　

　1月に開催された、第70回ゴールデン・グローブ賞授賞式の司会を共に務めた、アメリカを代表する人気コメディエンヌのティナ・フェイとエイミー・ポーラー。これ以上ないというほど息の合ったコンビで、何度も会場を爆笑の渦に巻いたが、それもそのはず。2人は20年来の大親友なのである。

　ティナとエイミーの出会いは93年。シカゴの即興コメディ劇団「インプロブ・オリンピック」のクラスで一緒になったのがきっかけだった。エイミーは、「ティナが書いた、女性バンザイ！　という内容の脚本『グレートでファッキングな馬、キャサリン』を読んで、“なんてホットなの！　もっと彼女のことが知りたい”と思ったの」と回想。2人はすぐに意気投合し、男尊女卑の社会を風刺するコメディや美に関することなど、さまざまなことについて語り合う仲に。劇団の創設者は「2人とも男に威圧されるタイプの女じゃないからね。大胆で威勢がよくて不敵だし」と、ルックス的には正反対だが、気が合う理由だと分析している。

　96年、エイミーは一部の劇団員と共にニューヨークに移り、コント番組『Upright Citizens Brigade』に出演。翌年、ティナも追いかけるようにニューヨークに移住し、コメディアンの登竜門コント番組『サタデー・ナイト・ライブ（SNL）』の脚本家に就任。01年にエイミーも『SNL』入りし、ティナは大喜び。02年には映画『Martin＆Orloff』で共演し、04年にはティナが脚本執筆・出演する『ミーン・ガールズ』にエイミーも登場。その後も『SNL』のスキットやコメディ映画で共演を続け、男性が支配していたコメディ界に新風を吹き込んだ。

　08年にはアメリカテレビ界のドン、オプラ・ウィンフリーが2人の友情と成功をテーマにした特別インタビューを行い、同年『SNL』で「大統領選で戦うサラ・ペイリンとヒラリー・クリントン」というコントを公開し、世界中で話題に。昨年10月のチャリティーイベントでは、2人の友情にかけて「一晩、ティナとフェイの親友になれる権利」をオークションにかけ、1人につき約330万円の落札金をゲット。ティナは『30 ROCK』、エイミーは『Parks and Recreation』という人気コメディ番組を手がけて、それぞれ小さな子どもがいるなど多忙だが、おそろいの靴を履き、2人で爆笑しながら街を歩く姿が頻繁に目撃されている。

■テイラー・スウィフトとセレーナ・ゴメス（20）

　カントリーシンガーのテイラー・スウィフトと、ディズニーアイドル出身の女優・歌手のセレーナ・ゴメスは、見た目も全く異なり、共通点などないように見えるが、実はかなりの似た者同士。そんな2人が友情を深めたのは08年10月。テイラーはジョナス・ブラザーズの次男ジョーと、セレナはジョナス・ブラザーズの三男ニックと別れたばかりで、そのことがきっかけになったと明かしている。

　テイラーはインタビューで、「私もセレーナも食べることが大好き。常に“何食べよう”と考えているタイプなの。私たちが親友になったのも、食べ物がきっかけだったわ。2人とも失恋して落ち込んでいた時に彼女に電話して、『10分後に、そっちに行っていい？』と大量のジャンクフードと共に押しかけたの。それ以降、本物の姉妹のように強い絆で結ばれているわ」と告白。「私たちは（地面を指差し）こんなところにいる時に知り合い、今やキャリア的に（天を指さし）ここまで上りつめたけど、友情はまったく変わらないのよ」と満面の笑みで語った。

　セレーナも、「私が失恋した時、夜の10時半に大量のジャンクフードを持って家に来たことがあるのよ。2人でボリボリ食べながらビデオを作って。大爆笑しながらね」「そしてテイラーはこう言ったの。『これから男と別れるのが楽しみになるわね。だって、これができるんだもの！』って。元気にさせてくれた彼女に感謝。もう、最高だわ」と話している。

　超有名人で楽しい学生生活を経験したことがない2人は、テイラーの弟が進学したノートルダム大学に忍び込み「1日大学生体験をしよう！」と計画したことがある。大学のロゴと名前がデカデカと入ったトレーナーや野球帽を取り寄せ、それを着て意気揚々と門をくぐったものの、そんな格好をしているのは2人だけ。かえって目立ってしまい、すぐにバレてしまったそうだ。大学の警備員がエスコートする騒ぎとなったが、2人とも「今ではいい思い出よね。そんなこと一緒にしてくれるの、彼女しかいないもの」と回想している。

　昨年末には、テイラーとハリー・スタイルズ、セレーナとジャスティン・ビーバーで、スキー場でのWデートをしたと報道。その後、立て続けに破局しており、きっと今回も2人でジャンクフードを食べまくり、面白ビデオを制作したのだろうとゴシップされている。

■リアーナ（24）とケイティ・ペリー（28）

　世界中に熱狂的なファンがいる、歌手のリアーナとケイティ・ペリー。2人が友人になったのは、リアーナがクリス・ブラウンからDVを受ける直前の09年2月初旬のことだった。

「リアーナがヴァレンチノのスタッズバッグを持っているのを見たの。キラキラがついていてね。『とってもクールね』と褒めたの。そしたら、彼女は『気に入ったのなら、同じバッグをプレゼントするわ』と言ったの」「正直、『あっ、またこのタイプの人』と思ったわ。フレンドリーに見せかけた、口だけのうそつき女ね、って」「でもね、バレンタインデーに、あのバッグが届いたの！　『何!?　リアーナは、この世で最高の女じゃん！』とびっくりして、それからずっと親友よ」とケイティは明かしている。

　「ケイティがバレンタインのことを覚えてくれたなんて驚き」と言うリアーナも、「この業界で、彼女のような人を見つけるのって難しいのよ。ゴージャスで、チャーミングで、柔軟な彼女のような人をね。だから、最初にケイティに会った時、すごく興味をそそられたの」とケイティを褒めちぎり、「ケイティは私に『ファック！』とか『シット！』とか言ってくれるの。そういう人と一緒にいると、アタシ、とっても安心するのよ」と言い、ぶっちゃけ話もできる仲だと明かした。

　ケイティがラッセル・ブランドと1年ちょっとで離婚した時は、パーティー好きな悪友リアーナのせいだともゴシップされたが、ケイティは離婚による傷心をリアーナの友情で癒やしており、2人の絆はますます強いものに。昨年9月に開催されたMTVの音楽授賞式では、2人そろって座り、ケイティがリアーナの腕に手を回し、甘えるように彼女の肩にキスをする姿が写真に収められ話題になった。

　しかし、そんな2人の友情は、現在こじれていると報じられている。原因は男。ケイティはリアーナに暴力を振るったクリスが大嫌いで、リアーナはケイティが交際している女ったらしのジョン・メイヤーが大嫌い。愛する男のことを悪く言われ、2人とも真っ向から対立した状態になっているのだ。だが、2人をよく知る消息筋は「リアーナとケイティは、お互いのことが大好きで、とても大切に思っている。思いやる気持ちが強い上に、2人とも頑固だから、なかなか仲直りできずにいる」と分析。険悪になっているのは一時的なもので、どんなことがあっても友情は壊れることがないとコメントしている。

　パリスのように“自分大好きなセレブ”の場合は友人を作るのは難しいようだが、お互いを思いやることができるタイプのセレブならば、一生涯続く友情を手に入れることができるのだろう。今回ご紹介したセレブたちはきっと、おばあちゃんになっても、楽しそうに遊び回っているに違いない。