AKB48が2連覇する前振り? 『火曜曲!』レコード大賞企画の疑問
12月30日に発表される日本レコード大賞。12月18日の『火曜曲! SP』(TBS系)では、54回目となるその発表に先がけ<レコード大賞受賞曲 全曲大公開!>と銘打ち、過去の名場面のVTRで歴史を振り返る企画が放送された。
沢田研二、ピンク・レディー、五木ひろし、中森明菜、近藤真彦、そして近年の受賞者の浜崎あゆみやEXILEと、次々にその年の受賞シーンが流されていく。
ところで、昨年のレコ大受賞アーティストは、この番組のMCでもあるAKB48である。そして、AKBは今年もレコ大にノミネートされている。そんな中でのレコ大特集というのは、結局のところ「今年もAKB?」としか思えないのだが、どうなのだろうか。
その一方で、AKBとともにMCを務める中居正広のSMAPは、ジャニーズ事務所に所属するアーティストは賞レースに参加しない方針に途中から変わったため、どれだけヒット曲があっても、SMAPも嵐もレコ大にはノミネートもされない。そんな微妙なスタンスということもあるからか、
「(レコ大には)なかなか選ばれないのよ!」
と、AKBに対してオネエ口調で語る中居。
「うらやましいわよ、アナタたち、本当に」
本当に出たいのかどうかわからないが、だからこそのオネエ口調なのか。このオネエ口調を同じくMCの江角マキコに、
「今日はそういう感じなんですか?」
と言われ、
「そうなのよ」
と返す中居。そんな、レコ大に参加していない中居に、篠田麻里子がヘンな方向に気をつかう。
「逆にすごすぎて、たぶん……そのクラスじゃないんですよ」
なんだそりゃ。中居もすかさず、
「馬鹿野郎、すごすぎてエントリーされねぇってことねぇべ」
と言っていたが、篠田の解釈に沿って考えると、「レコ大はすごすぎる人は受賞できない、それなりの人のための賞」なのか。都はるみや安室奈美恵もそうなのか。そして、50年以上の歴史を誇るレコード大賞の歴史を振り返っていくVTRの最後は、もちろん、昨年受賞したAKB48の「フライングゲット」。VTRにナレーションをあてていた德光和夫が、「アキバから全国に飛び続けて7年。夢を追い続けた少女たち、ついに夢に手が届いた瞬間です!」と盛り上げ、メンバーたちの涙の挨拶と熱唱が映る。そして、スタジオのAKBへつながっていく流れだ。VTR明けに高橋みなみが、
「いやあ、感動しましたねぇ」
と、あらためて昨年の感想を語っていたが、こうなるともう30日のAKBレコ大2連覇を盛り上げるための構成、前祝いのように思えてくる。とりあえず、VTRを見た中居が、
「本当に泣けるの?」
と、感動の場面を“レコ大未経験者”としての視点から茶化し、
「(自分が受賞して)そんなに泣けなかったら、泣くフリとかすんのかな?」
と、道化たところでオチがついた。ところで、今回のレコード大賞にノミネートされたアーティストのCD売り上げを見ると、オリコンの年間売り上げトップでレコ大ノミネート曲である「真夏のSounds good!」をはじめ、AKB48がトップ5を独占した。売り上げ面からも、正直「もっと売れた曲いっぱいあったのに」感がある年に比べたら、受賞は文句なしで、ほかの人が大賞を取るほうがかえって不思議な状況ではある。ほかに年間売り上げのトップ10入りした嵐もSKE48もレコ大へ出ないわけだし。ちなみに、今回ノミネートされた10組のうち、売り上げ年間トップ100にランキングされていたのは、氷川きよし(53位)、3代目J Soul Brothers(56位)の2組だけ。そんな顔ぶれで戦うレコード大賞。もちろんほかの7組も人気アーティスト揃いではあるけれど、逆に、売り上げ年間トップ100に入るというのは、そんな顔ぶれでもなかなか大変なことなんだということもわかった。
そういう意味では、篠田麻里子の言うことも、ある意味合ってたのかもしれないが、さて30日、54回目の受賞者は誰でしょうか。
(太田サトル)