「あなた有名人なの?」地下鉄での老婦人とジェイ・Zの会話が話題に!
30億円近くの年収を誇るHipHop、R&B界帝王のジェイ・Zが、今年秋にニューヨーク・ブルックリンのバークレイズ・センターで開催した8日間コンサートのドキュメンタリー動画をYouTubeに掲載。10月に報じられた地下鉄で移動した時の様子も収められており、隣に座った初老女性とジェイが交わした会話の一部も紹介された。初老女性は品のある穏やかな人で、ジェイとのやり取りがとても微笑ましいと、ネット上で大きな話題になっている。
ラッパーで敏腕音楽プロデューサーであるジェイ・Zは、生まれ育ったブルックリンに強いこだわりを持っていることで知られる。スポーツにおいても応援するのはブルックリンにちなんだチームであり、NBAではブルックリン・ネッツの大ファン。このチームの新本拠地であるバークレイズ・センターの建設計画が立案された時も、早い段階で出資者としてプロジェクトに参加。建設中も何度も訪れ、自らブルドーザーに乗り工事を手伝ったりした。チームの新しいロゴとユニフォーム制作にもジェイは参加し、「あのジェイがプロデュースした!」とグッズは飛ぶように売れている。ジェイのネームバリューにより、バークレイズ・センターは「ニューヨーク・ブルックリンの一大アリーナ」と認知されるようになり、オープン前から大物アーティストたちがこぞってコンサートを行うことを決定。ジャスティン・ビーバー、ザ・フー、ボブ・ディラン、グリーン・デイ、レディー・ガガ、リアーナなど、来年の春先まで人気アーティストのコンサートで埋まっていると伝えられている。
そのバークレイズ・センターが今年秋、無事にオープンし、9月28日から8日連続してジェイがこけら落としコンサートを決行。このアリーナは、コンサートなら1万9,000人を収容できるとされているが、8日間コンサートのチケットは即完売。最終日はライブストリーム配信され、世界中のファンを大喜びさせた。この最終日、ジェイは愛用している高級車ではなく地下鉄に乗り徒歩で会場入りし、「大金持ちなのに地下鉄を利用した」と大きなニュースになった。報道では「ジェイはファンの写真撮影やサインにも快く応じ、電車内では隣合わせて座った初老女性との会話を楽しんだ」と伝えられていた。
ジェイは今月4日、YouTubeの公式アカウントに、『Where I’m From: JAY Z Barclays Center Documentary(オレの故郷:ジェイ・Z バークレイズ・センター ドキュメンタリー)』というタイトルの24分の動画を掲載。こけら落としコンサートができるまでの過程やスタッフによる秘話をジェイのリハーサル風景を織り込みながら制作したもので、3日間で80万回近くが再生されるという人気となっている。この動画の20分頃に、最終日のコンサートにR系統のニューヨーク地下鉄で向かうジェイの姿が収められており、ニュースで流れた「初老女性との会話」が映し出されたのだ。
巨人のようなボディガードをぞろぞろ連れながら地下鉄に乗り込んだジェイは、3人掛けの中央の席に座り、その周辺をがっしりとガードされる。ジェイの右横には、銀色の髪を後ろにまとめメガネをかけた上品な雰囲気を漂わせる初老女性が、にこやかな表情で座っている。
無事に地下鉄に乗り込みホッとした表情を浮かべるジェイに、女性は「あなた有名人なの?」と質問。ジェイは「イエス」と即答するが、「あっ、でもオレのこと知らないんですよね。だったら、そんなに有名じゃないってことかな。でも、きっと有名になってみせるよ」と言い、女性は彼を知らなかったことに照れ笑いを浮かべる。
「オレはジェイっていうんだ。あなたの名前は?」と右手を差し出した彼に対し、女性は握手をしながら「エレンよ。あなたのお仕事は?」と質問。「音楽を作っているんだ」とジェイは答え、「ひょっとしてパフォーマンスしたばっかりなの?」と聞かれ、「いや、これからブルックリンでするんだ。今、コンサート会場に向かっているところなんだ」「新しくできたブルックリン・アリーナ(バークレイズ・センター)でするんだ」と答えた。大会場でコンサートをするような人物だと知ったエレンは感心したように首を大きく振り、「ファビュラス(素晴らしいわ)」と言う。気を良くしたジェイは「実は8つのショーをやってるんだ」と言い、エレンは「そんなに?」とびっくり。「あぁ。今日するのは、その最後のショーなんだ」と笑顔で説明した。
そんなジェイにニコニコ顔を崩さないエレンは「(そんなにすごい人なのに)地下鉄で行くのね」と言い、「イエス」と答えたジェイに、「あなたは本当に素晴らしい人だわ」と褒め、2人はしばし笑顔で見つめ合った。最後にエレンは「もう一度あなたの名前を教えて。ちゃんと覚えられるように」と頼み、「ジェイ。ジェイ・Z」と言い、エレンはびっくり。「OH! あなたがジェイ・Zなの? ジェイ・Zなら知っているわ」と言い、ジェイは満足そうに笑った。
対照的に見えるジェイとエレンの暖かいやり取りはネット上で大きな話題となり、エレン・グロスマンはたちまち時の人に。英タブロイド紙『Guardian』から取材を申し込まれ、「あの日はブルックリンに住む友人に会うため、マンハッタンから電車に乗ったの」と説明した。エレンの乗った電車がカナル・ストリート駅に到着した時、大勢の人がプラットフォームに溢れているのを見て、「最初、地上で大変なことでも起きたのかと思ったのよ」「みんな笑顔だったので、事件ではないと安心したけれど」と彼女は回想。「みんなから写真を撮られている男性がいたけど、誰だかまったくわからなかった」というエレンだが、自分の隣に座ったその男性がとてもフレンドリーだったため会話を始めたとのこと。「彼との会話はとても楽しかったわ。でも途中で、彼がとんでもない有名人じゃなかって気がついて」というエレンは、ジェイ・Zのフルネームは知っていたとのことで、「この世に生きているのなら、誰だってジェイ・Zの名前を知っているわよね」と笑った。
エレンはジェイと同じブルックリン出身。現在はマンハッタンに住んでおり67歳という高齢だが、画家、彫刻家として活動をしている。彼女のイメージにぴったりなシンプルで上品なウェブサイトも持っており、ジェイの動画が公開されてからというもの、サイトを訪問する人が劇的に増えたそうだ。
エレンは、ジェイが自分のウェブサイトのアドレスを、持ち合わせていた封筒の裏に書いて手渡してくれたことを明かし、「サイトを見たら、彼の仕事のことだけでなく、彼がコラボレーションしたたくさんのアーティストのことも大きく紹介していて感心したわ。彼はほかのアーティストたちにも、そういう機会を与えてくれる、懐の深い人なのでしょうね。私も、そんな機会を与えて貰ったように感じるわ。彼と出会えたことは、とてもポジティブな経験になったわ」と語った。
「彼のことを知らなくても不機嫌になることはなかったし、横柄な態度などまったく取らない、とても素晴らしい人だったわ」とにこやかに語るエレンは、ネット上で彼女が一躍有名人になっていることを伝えられ、「きっとね、私が話題に上がっているのも、ここ1~2週間だけよ」と冷静に言った。「私は芸術家だから、ある意味、注目は浴びたいと思っているの。でも、注目してもらいたいのは作品であって、私自身じゃないのよ」と述べ、「これは、つかの間の名声だから」との見解を示したエレン。うぬぼれることのない彼女だが、ネット上では彼女とジェイの話題で持ち切りであり、当分美談として語り継がれそうである。