矢口真里の「女品川」感を脱臭する、『ヒルナンデス!』のアノ人
今回ツッコませていただくのは、11月23日放送分『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)で見せた「新しい矢口真里」。
矢口といえば、「腹黒い」「ソツがない」イメージを持っている人が多いだろう。また、「子供の頃からお笑い系が大好きで、はっきり言ってオタクレベルです。最近好きなお笑い芸人はズバリ!はんにゃです」(レッドカーペット取材より)、「子供の頃から漫画が好きで、芸能界では2~3位になれる位漫画持ってます。(中略) かなりマニアックな漫画も好きで、特に好きな漫画はワンピース、ドラゴンボール、NANAです」(オフィシャルブログより)などなど、数々の「知ったかぶり」発言が知られているように、どんなジャンルにも首をつっこんでくることから「女品川」などとも言われてきた。
そんな矢口が持ち前の腹黒さを発揮できず、無防備な顔をさらしてしまうのが、他でもない、金曜レギュラーの『ヒルナンデス!』だ。理由はひとつ。同曜日レギュラーに、有吉弘行がいるからだ。
この日、場所や世代を超限定して行うランキング「超限定マーケティング!」のテーマは、「20~30代女性に聞いた 夫婦で活躍する有名人 TOP10」だった。「矢口だったらこういう時、臆面もなく自分の名前を出しちゃったりして……」と、視聴者側は少し身構える。すると、矢口が回答する際、有吉はこんなパスを出すのだ。
「ちょうどよいテーマですけど、矢口さん、夫婦で活躍する有名人といえば??(ニヤニヤ)」
こう振られると、矢口は完全に持ち前のプラス思考(?)を封じられてしまう。
「いっつもそうやって言わされますけど、私、1回も出たことないじゃないですか~!(怒)」
そして、しぶしぶながら、お膳立てされた流れにそって、矢口は答えざるを得ない。
「中村昌也・矢口真里夫妻!!」
ブ~~~~~~~!!! 容赦なく降りかかる「ブー」音だけで十分なのに、さらに有吉は追い打ちをかける。
「ちなみに、20位以内にも入ってません(笑)」
それに対し、矢口はカメラに向かって大声で叫ぶ。
「いつか絶対入ってやる~~~っ!!(怒)」
一般が思い描く「矢口」像を存分に利用した上で逆手にとった、素晴らしい流れだ。続いて、SAを訪れ、富士山の湧水を飲みながら「爽やか~~♪」と語る矢口の横顔がアップで映し出された際にも、ワイプでは有吉のめちゃくちゃ迷惑そうな怖い顔が登場。そのコマだけできちんと笑いが成立していた。
どこでも褒め称えられている有吉のことを、今さら持ち上げる必要もないけれど、矢口のほかにも品川庄司・品川祐や、熊田曜子などなど、こうした「やや鬱陶しい人」を扱うことに関して、有吉ほど上手い人はいないと思う。
昔の「美しい人はより美しく、そうでない方はそれなりに」のフジカラーCMじゃないけれど、どことなくイラッとする人、鬱陶しい人が、有吉フィルターを通すことで、輝いてしまう不思議。このフィルターが欲しい人、芸能界には山ほどいるんじゃないかと思います。
(田幸和歌子)